インフルエンサーのDRM的使い方
DRMに限って言えば、もっとミクロな落とし込み方があるので紹介しておきましょう。購入時の決定要素としてインフルエンサーの声を使う、という手法です。『なんだ、今までとどこが違うのだ!』と筆者を責めてはいけません。
「インフルエンサー」などと書くと大仰に見えますが、実は通販などでは伝統的な手法です。TVショッピングで、「このベルトを使うと腰の痛みがすっと消えて…」とユーザーの声を使うアレ、アレがインフルエンサーなのですね。アレで、画面に登場するユーザーが誰もが知っている有名人であればなお良し、というわけです。例えば、現在ならビリー・ブランクスとか。
そこまで露骨でなくても、その業界内の有名人がブログでちょっと発言するだけで、そのレコメンド商品が売れる、あるいは浸透すると企業は信じています。特にIT業界などではその傾向が強く、アルファブロガーが引っ張りだこの理由のひとつはこれです。
人間というのは弱いモノで、自分ひとりでは物事の判断は難しい…つまり、何らかの組織に属したり、他人の意見を聞いたりして自分の意志を決定したいというのが、深層心理にある願望らしいのです。社会心理学的には、ユーザーは自分が潜在的に持っている志向性を、絶対的な存在に強く推奨されると無意識に行動するとか。実は、人間は「影響されたがっている」のですね。そこで、筆者が考える「Web消費者のニーズを理解したうえで納得させるコツ」は以下のようになるのです。
- 何度も繰り返すこと
- 自然に強く押し付けること
- メッセージが具体的であること(結論の明示性)
- 先入観を持たせること
テーマの反復が行動確率を高めることは、社会心理学的に証明されています。そしてさらに、インフルエンサーが自らの意見を具体的に述べること。そして、「この商品は便利である」的なムードをコミュニティ全体で醸し出すことが重要なのです。インフルエンサーとそのブログを利用する意味が、ここから何となくわかるのではないでしょうか。
この、「インフルエンサーからの推薦」という要素は、前回 に紹介したLFW(ロイヤリティ・フレームワーク)とも大いに関係があります。自分が信頼している人や組織からのコメントは、心情軸に大きな影響を与えるからです。LFWはアンケートによって属性を判定するものであるが、このCGM(WOM)の結果をひとつの評価軸と考えれば、別の評価ツールが生まれるかもしれません(乞うご期待!)。
