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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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刺さらなければ広告じゃない! WebマーケッターのためのDirect Marketing講座

ダイレクトマーケティングでクチコミュニケーションできるのか!?


では実際に可能なのだろうか?

 前ページで、CGMMの役割として「市場を温める(活性化させる)」と書きましたが、実際にそれは可能かどうか検証してみましょう。実は、このアプローチにも二つの側面があります。

[a]特定の分野においてOpinion Leaderが存在するコミュニティを集中的に囲い込み、大きなMovementを作り出していく
[b]コミュニティ単位のHotな流れを読み取り、そこに見合った商品(サービス)を提供していく

 [a]については、前ページでも書いたように決して不可能な話ではありません。実際にIT業界の一部では常套手段になっています。例えばセキュリティ分野などでは、カリスマ的技術者存在とその配下のコミュニティを囲い込んだりすることが、すでに「常識」になっているのです。

 具体的には、Opinion Leader=インフルエンサーをリストアップして組織化し、彼ら(彼女ら)に訴求したい商品/サービスの購入の下地を作ってもらう…いわゆるムード作りというものです。IT業界のように、インフルエンサーたちが右を向けば全体が右に転回する業界なればこその手法ではあります。

 この場合、特にコミュニティ自体の内容を精査する必要はありません。インフルエンサーさえ囲い込めれば、そのコミュニティ内ではかなり高い確率で商品が購入されることになるからです。ただし、そのための横断組織作りに膨大な時間と手間がかかる可能性も否定できません。

 余談ですが、このBuzzを流布させられるインフルエンサー…ブログで言えばアルファブロガー…の確保が、最近は熾烈な争いになっています。広告代理店的訴求手法では、ブログに含まれる「強いキーワード」と、そこにヒモ付けられる支持者層から誰がアルファブロガーかを定め、キーワードに関連した広告情報をバナーとして流すという技法と、アルファブロガー自身にブログのカテゴリーを申告させ、それと合った広告展開を行うという手法があります。いずれにせよ、固定ファンを持ち、発言の影響力が大きいブロガーたちをどのくらい囲い込んでおけるかが、Webマーケターの腕の見せ所になりつつあるのかもしれません。

 さて、もうひとつの[b]ですが、現実問題としてクライアントがイメージしやすいのはこちらでしょう。ただ、現実にコミュニティ単位の商品提供はできるものなのでしょうか? もちろん、コミュニティのテーマに合わせ、そのグループの中で最適な商品展開ができれば販売効率は間違いなく上がるでしょう。つまり、コミュニティ単位のマッチングです。ただし、この場合はいくつかのデータベース面での条件が生まれてきます。

  • コミュニティそのもののデータベース構築が必須(自己申告による登録制が望ましい)
  • コミュニティの構成員のデータベースを構築し、その志向性からコミュニティそのものの志向を判断するシステムを構築

 後者では、GoogleのAdSenseのような自動判別エンジンが必要になるでしょう。その場合の投資額は相当なものですし、そもそもCGMMの範疇を超えているようです。さらに問題なのは、マスで売上が確保できないため、比較的高額な商品(サービス)に需要が限られてしまうこと。販売効率は上がるでしょうが、同時に販管費も増大します。そのコストの上昇分以上に利益を確保するためには、人を介さず、どこまで自動的にコミュニティやBuzzの管理ができるのかが大きなポイントになってくるでしょう。

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この記事の著者

杉山 実(スギヤマ ミノル)

株式会社 電通ワンダーマン インタラクティブマーケティング部 シニアプロデューサー。Reader‘s Digestを皮切りに外資系代理店、大手出版社で広告制作とダイレクトマーケティング、企画・編集を担当。コンテンツビジネスのJVなどを多数手掛け、マーケティングとデジタル・ソリューションの間を行き来する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/09/12 16:28 https://markezine.jp/article/detail/1445

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