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「ワンクリック詐欺の対応を教えてください」ケータイ電話の「はてな?」その2

今やほとんどの人が1台以上所有する携帯電話。便利で、もはやなくてはならない存在ですが、普及に比例して携帯電話に関連した犯罪・詐欺・トラブルも増えています。今回はケータイ電話の「はてな?」にフォーカスしました。(その1はこちら)

【質問】
携帯電話に送信された差出人不明の電子メールに記載されたURLを面白半分にクリックしたところ、アダルトサイトにつながってしまい「登録料3万円」と表示されました。驚いて直ちに通信を切断し、アダルトサイトの閲覧を停止しました。しかし翌日、「3日以内に登録料3万円を支払うこと。期日を過ぎると延滞料金が加算され5万円になる」という請求メールが携帯電話に送信されました。たしかにサイトにはアクセスしたのですが、登録した事実はありません。無視したいのですが、怖い気持ちもあります。どうしたら良いでしょうか?

回答

 情報サイトにおいて、クリック1回だけで登録完了とみなし、利用料金を請求する詐欺手法のことを、「ワンクリック詐欺」といいます(三省堂・デイリー新語辞典)。

「ワンクリック詐欺」の特徴は、

  1. 勝手に届いた電子メールに記載のURLをクリックすると、一方的に「契約」の成立を主張する点
  2. 料金の支払方法のほとんどが銀行振込によるもので、振込先の口座は架空口座のことが多い点
  3. 携帯電話の個体識別番号やGPSを使った位置情報、IPアドレス、契約しているプロバイダなどを表示し、これにより個人情報を得ることが可能であることを主張した上で、入手した個人情報に基づき債権回収や訴え提起を行う旨を警告する点

などにあります。ご質問のケースは、電子メールに記載されたURLを1回クリックさせただけで、契約の成立を根拠として登録料3万円をユーザーに請求するというものですので、典型的な「ワンクリック詐欺」に該当するといえるでしょう。それでは、相手方のユーザーに対する登録料3万円の請求は、法律上有効なのでしょうか?

 この相手方の請求は、ユーザー・相手方間の契約に基づくものと考えられます。しかし、契約は当事者間の意思の合致が必要となりますので、ユーザーがURLを1回クリックしただけでは、ユーザーと相手方との間に意思の合致があると評価することはできません。また、契約内容が記載された規約すら存在しない場合には、当事者間でいかなる内容について意思の合致があったのかを特定することができず、いずれにおいても契約は成立していないと考えることができます。このように、相手方のユーザーに対する登録料3万円の請求は、法律上根拠のないものといえます。

 それでは、単に電子メールに記載されたURLをクリックさせるのみならず、規約が表示されたダイヤログ画面内の「OK」をクリックさせることによって自働登録となる場合は、相手方のユーザーに対する登録料3万円の請求は、法律上有効なのでしょうか?

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この記事の著者

笹倉 興基(ササクラ コウキ)

弁護士(東京弁護士会所属)。1995年早稲田大学法学部卒業。1999年弁護士登録。黒田法律事務所において、特許権、商標権及び著作権といった知的財産権に関する案件、ベンチャー企業の支援を担当している。また、M&A・事業再生・リストラクチャリングや民事再生などにも注力しており、ビジネス法務の分野において第一線で活躍中。ネットビジネスに関連する法律に精通している。
www.kuroda-law.gr.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/07/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/1464

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