”SO-LO-MO(Social + Local + Mobile)”
その他、今回のad:tech NYでキーワードの一つになっていたのが、”SO-LO-MO”です。
Social + Local + Mobileの略で、モバイルに位置情報を足してさらにそれをソーシャル的に利用しようとする動きを指します。FourSquareは日本でも知られSO-LO-MOサービスの1つだと思いますが、出展ブースには複数の関連テクノロジー企業や、セミナーにおいても興味深い事例が発表されていました。
SO-LO-MO関連のセミナーでは、「Hyperlocal is Hot Targeting and Personalizing Ads Based on Context and Situation」を聴講しました。登壇者はimmrのPhil Hendrix博士、位置情報分析/提供会社GeoIQのCEO、Frank Moyer氏、位置情報を加味した広告配信が可能なJiWireのシニアバイスプレジデント David Staas氏、ソーシャル渋滞情報サービスWazeのバイスプレジデント Di-Ann Eisnor氏、広告主からは、米国任天堂のリテールマーケティング担当 Phillip Raub氏とペプシコーラのソーシャル戦略担当 George Smith氏です。
冒頭、モバイルデバイスはGPSだけでなく、カメラ、QRコード、NFC (Near Field Communication)など、他のセンサーも使えるのでそれらとロケーションサービスやソーシャルプラットフォームとつながることで、大きな可能性を秘めているという話があり、いくつかの事例が紹介されました。
私は、今回のNY訪問まで知らなかったのですが、位置情報系のマーケティングサービスが非常に進んでいるようです。例えば、GoogleMapsでもレストランの席が空いているかどうかまで表示されるような状態になっていますが、GoogleMapsだけでなく、プレゼンの中で紹介されていた、retailigence、GoodGuide、CITYMAPSといった、オンライン上のユーザーを実店舗へ送客するためのマーケティングサービスが登場しています。
また、GeoIQというサービスはTwitterを始めとするジオタグの付いたソーシャルアクティビティをリアルタイムに分析する技術をもっています。ペプシコーラ社との事例では、昨年のスーパーボウルの際に5つの異なるCFを流し、Twitterでの反応を地理情報システムでリアルタイムモニタすることで、各地域の特性を調べ、その後のマーケティングに活かしたそうです。

もう1つ、任天堂のローンチキャンペーンで利用されたソーシャル渋滞情報サービスWazeを活用したキャンペーンが興味深かったです。
WazeはiOSまたAndroidベースのソーシャル渋滞情報ナビアプリ。任天堂のために、自車マークをマリオに変えて近くの小売店までナビしてくれるアプリを開発。小売店に行くとNintendo3DSが当たるというキャンペーンで、Wazeユーザーの6%強が小売店に来店したとのことです。リアルマリオもしくはリアルマリオカートさながらで、プレゼン中には触れられませんでしたが、ソーシャルというよりゲーミフィケーション的要素が商材とマッチした好例とおもいました。

以上、3回にわたってad:tech New Yorkのレポートをお届けしました。私が全体を通じで受けた印象は、一つひとつの要素技術は決してすごいわけではない(精度は高くない)が、「まずは使ってみる。そして評価する。さらに改修する」という実行力が、スピード感を生んでおり、その点で世界との壁は厚いということを肌で感じることができました。
しかし、課題や悩みどころは我々が日々感じているものと似たようなものが多く、ならばまだまだ我々が先手を打てることも、多いのかなとも思いました。
他にもお伝えしたいこともありますが、これでad:tech New Yorkレポートを終わります。少しでも皆様の参考に、そして刺激になれば幸いです。