データ分析の課題は万国共通?
データ分析関連では3つのセッションが開かれました。私も、マーケティング分析に関わる人間として、興味津々でセミナーに望みました。正直に言うと、思ったほど具体的な話題や濃い話は聞けませんでしたが、悩んでいるところはみんな同じだなぁという印象でした。
「I Love Data-What Are Your Analytics Telling You?」 では、レイザーフィッシュのJason Leigh氏をはじめ、StarcomMediaVest(広告代理店、メディア事業)のデータ分析ディレクターAndy Fisher氏、オグルビー&メイザーのグローバルコンサルティング部門のディレクターDimitri Maex氏、GoogleのO2Oの効果測定などを行っているMatthieu McAuliffe氏といった、第一線でマーケティング分析に関わっている方々が登壇しました。
取得できるデータ量がとてつもなく増えている中で、処理するためのインフラや技術的な課題は解決しつつあるが、それを扱うための人的な課題が多く残されている、というのが共通の課題のようです。解決されるべき具体的な課題は次の点と語っていました。
大規模データや複数のデータソースを合体して分析することが多くなってきているので、指標や用語の統一が図られていないと、その分手間がかかることなる。さらにはデータをよりメタ化できれば、機械化をさらに進めることも可能である。
新しい分野でもあるが、そもそもBig Dataを扱える分析者が少ない
手間をかけて分析したものほど、細かい話になりがちであり、経営上の大きな意思決定につながるものとはかけはなれることが多い。前処理に手間がかかる事も絡む問題であるが、分析にかかるリソースと、そこから得られる価値(ビジネス課題をどれだけ解決できるかどうか)のバランスがとれていないのが現状。
これらは、日本でも分析に関わるものならば誰もが感じている課題です。Big Dataといえば聞こえが良く、なんでも解決してくれる言葉(英語でsilver bulletという比喩表現が使われます)と思われがちですが、silver bulletはそうそう落ちているものではありません。
私もそうですが、実際の現場ではまだまだ結構手作業で、細かい修正や試行錯誤を繰り返して、やっと見つけたと思ったら、大した発見ではなかったことも多いにあります。ただし、いまのこの苦しみは、次へのイノベーションに繋がっていると信じています。
Matthieu McAuliffe氏は、Googleで現在取り組んでいるOnlineがOfflineに与える影響についての実験に関して、簡潔に説明しました。すでに46件の実験を行い、いくつかのインサイトを得ることができたということですが、発表時間が限られていたこともあり、残念ながらその詳細は明かされませんでした。

