Androidで起きているタイムシフトと、iPhoneとの情報流通量の格差
物延:ここから、スマートフォンアプリの最新動向をテーマに話して行きたいと思いますが、2011年を振り返って、2010年との大きな違いはありますか。
水野:2010年と2011年の違いとしては、数々のAndroid端末が登場したことにより、Androidアプリ自体の数が急増し、スマートフォンマーケットが変化しました。2010年から2011年にかけてiPhoneで流行ったアプリが、もれなくAndroidにも出ているというのが大きな傾向です。いわゆるタイムシフト経営がマーケットで起こっています。現状のAndroid Marketを見ると、半年前のApp Storeと良く似たランキング状況になっています。
また、ここからひとついえるのは、今年のトレンドは、iPhoneもAndroidも同じタイミングでアプリを出しましょうということですね。今までは、まずiPhoneを出して流行る、それからAndroidを出して流行るという流れでしたが、それはもう当たり前ですので。タイムシフトではなくて、じゃあ両方同時に出したらどうなるのかと。
その両方のメディア特性から考えると、両方に関してそれぞれにバズられますので、ばらばらで出すよりも両方一緒にリリースして、機種関係なくスマートフォンアプリとしてお客さんとの情報の接触点を増やしていくことが求められると思います。
今までiPhoneとAndroidを分けて考えることが多かったのですが、Androidの欠点は情報がない点が挙げられます。つまり情報の流通があまりない。これはクエリーシーカーを見ていても良く分かるのですが、これはAndroidの記事を出してくれるメディアや、そしてそれによってバイラルが発生する率が非常に低い。iPhoneと比べると非常に少ない。
物延:ただ、iPhoneもAndroidも両方同時にアプリを作ってみるとそこまで大きくDL数が変わらないというケースもあって、利用ユーザー数でいうとiPhoneに肉薄しているということも出てきていますよね。
そのなかで、これだけ情報の流通量に格差があるというのは驚きですね。なので、iPhoneで話題作りながら、AndroidユーザーがiPhoneの記事を読んでアプリを知るという流れを作る視点は、必要になってくるかもしれません。
水野:今後、利用ユーザー数を鑑みても、主戦場はAndroidになっていく可能性は大いにありますが、販促のために情報を流通させるという意味でiPhoneをローンチする意義はあると思います。
