抵抗が少なくなりつつある有料視聴に中高年層の追い風
有料配信となる課金モデルは、「以前よりも抵抗を感じる人が少なくなってきた」と渕氏は語る。
「もちろん、コンテンツにお金を払うかどうかには、いまだにある種のハードルがあります。ただ、一度これを超えて視聴を体験すると、その後は継続的に利用していただけているようです。『ももくろChan』だと、ファン同士がTwitterなどで、『お金を払う価値がある、見ないと損だ』とのコメントも目にするようになりました」

さらに現在では、60代以上の層にも有料コンテンツが浸透し始めている。特に人気なのは、子沢山の一家が奮闘するドキュメンタリー番組「ビッグダディ」のシリーズだ。これは地上波で放映した本編をそのまま有料コンテンツとして提供しているが、特に中高年の視聴者のニーズが強く、視聴に関する問い合わせも多いという。
テレ朝動画は番組単位の課金ではなく、視聴に使用する「メダル」をあらかじめ購入する仕組みを導入。その分かりやすさも中高年層に広がりつつある要因のようだ。
曜日と時間帯に縛られない、コンテンツありきの企画が可能に
では、地上波の番組とネットのコンテンツとでは、制作のポイントや考え方にどのような違いがあるのだろうか。
「テレビ番組は、『火曜夜9時』『金曜夜7時』など曜日と時間帯があらかじめ決まっていて、その日時にテレビを見やすい人が楽しめることが前提になります。一方、ネットは日時の制約がないので、コンテンツの企画を起点に、こんなターゲットに視聴してもらいたいと意図を込めることができる。その点は考え方が異なると思います」(渕氏)
地上波のコンテンツは、権利などの関係上で水平展開が容易に進まないケースも多いが、はじめから動画以外のビジネスも視野に入れて制作するネットコンテンツの場合、チャンスも大いに潜んでいる。今あるものを次にどう活かせるか、同社では体制も万全に事業としての広がりを探る意向だ。
また、地上波、BS、CSという電波と比較して、モバイルでも視聴できるネット動画は、「よりパーソナルな楽しみ方を提供できるはず」と渕氏は指摘する。視聴スタイルからも、コンテンツの切り口を見出せるだろう。