「テクマトリックスCRM FORUM 2012」はテクマトリックスが主催する日本最大級のコンタクトセンター関係者向けセミナー。この記事では、編集部が注目した3つのセッションを紹介する。まず紹介するのは、株式会社デジタルガレージ グループCEO室 エグゼクティブプロデューサー 厚川 欣也氏の「ソーシャルメディア時代の新しい顧客像」と題したセッションだ。デジタルガレージ社は1995年創業、日本のインターネットの歩みとともにビジネスを展開してきた企業であり、Twitterと資本・業務提携していることでも広く知られている。さらに最近ではLinked inやPathといった海外のソーシャルメディア系のサービスに投資をしている同社。ソーシャルメディアがもたらした生活者の変化について、厚川氏は次のように語った。
ソーシャルメディアがもたらした新しいコミュニケーション
「Twitterなどのソーシャルメディアの登場によって、情報の伝達経路は従来の上から下、大から小ではなくなりました。生活者はネットを通して一人ひとりがメディアになれる。無視できないほどの拡散力を持つ個人が増え、リツィートや『いいね』によってスピーディーに情報伝搬が行われています。公式情報が正しいという認識も薄れ、企業からの情報もタイムラインに流れてくる友達や有名人のツィートに紛れたひとつとしてしか見てもらえません。相対的に強くなった個人との付き合い方、力を持った消費者との付き合い方を考えなければならない時が来ているのでしょう」
そしてソーシャルメディアの普及に加え、ネット社会の進化によって「アマチュア革命」が起こったと語る厚川氏。人々はスマートフォンを持ち、Wi-Fi環境を使って、いつでもどこからでも情報を発信できるようになった。“ひとりのプロよりも千人のアマチュアの口コミの方が公正な意見が聞ける”と考える生活者も増え、単なる消費者から脱却したのだ。
「これまでのように売り手から買い手に一方的に情報が伝わる時代から、顧客が主導の時代となりました。顧客は店からのオススメ情報に対して、何か裏があるんじゃないかと、簡単にはうなずいてくれません。購入者一人ひとりの店や商品についての好感度が売上を左右する。ポジティブな意見を出してくれるお客を作っていかなければならないのです」(厚川氏)
ソーシャルメディアで成功する企業活用の秘訣
続いて、厚川氏は企業がソーシャルメディアを活用する上で大切な、4つのポイントを紹介した。
顧客と誠実に継続的に向き合う覚悟をもつ
ソーシャルメディアを始めるということは、お客さんとつながる窓を開けるということ。いったん窓を開けると閉められないし、始めたからには誠実に付き合わなければならない。マス広告のようにコントロールできないことをわかった上で、裸の付き合いをするという覚悟が必要だ。ソーシャルメディア上では企業もお客様も同じフォーマットであり、それができる企業力が求められている。
プロとして、顧客の役に立つ情報を発信する
Twitterなら“フォローする価値のある、リツィートする気になる、情報を発信する”、Facebookなら“親密で、好感をもてる、情報の送り手として認められる”ような、拡散しがいのある情報を常に出していかないといけない。
ソーシャルメディアに対応する基本ポリシーを策定する
社内外に向けて、自社のソーシャルメディアに取り組む基本姿勢を明示する必要がある。社内に対しては社員のソーシャルメディア使用の規範づくり、社外に対してはどのようなコミュニケーションを目指すかを表明する。ルールを決めておかないと、担当者を守ってあげられないし、評価もしてあげられなくなる。部署間のシナジーも生まれない。
企業の代表としてソーシャルメディアに向き合う人材を育成する
誰が担当するかは非常に重要だ。うまくいっている企業は担当者が非常に優秀である。しかし人事異動などでその担当者がいなくなってしまったら、尻切れとんぼになってしまう。最後に、社内のクローズドな環境でTwitterの機能を使える「BirdFish」を紹介し、厚川氏は講演を締めくくった。
当日の講演が視聴できるバーチャルイベントを開催中です!興味のある方はぜひご覧ください!「テクマトリックス CRM FORUM 2012 Online」