日本初のインタラクティブエージェンシー(デジタル領域の総合広告代理店)として誕生し、企業のデジタルコミュニケーションを総合的に支援しているスパイスボックス。本連載では、スパイスボックス プロデューサーの物延秀と、スパイスボックスと共にインタラクティブコミュニケーションを生み出す、様々な分野のプロフェッショナルが、5回に渡り対談を実施。
第4回となる今回は、PR業務を中心に企業のマーケティングを支援するベクトルグループで、Webニュースメディアやソーシャルメディアでのコミュニケーションを事業ドメインとする株式会社シグナルの天野渉氏をお招きし、Webニュースの作り方、およびソーシャルメディアでの話題化コミュニケーションについての対談を行いました。
ニュース化させるためののPRコミュニケーション基本構造
物延:既存の広告だけでは効果につながりにくいと言われる中、マーケティング戦略の一貫として、PR施策を検討することが増えていると思います。インターネット上での拡散を考える際にも、広くリーチできる手段としてWebニュースにいかに取り上げられるかということを狙って、コミュニケーション設計を行うことは珍しくなくなりました。
天野:そうですね。もともとPRは、IR情報のリリースなどいわゆる広報活動のことを指していましたが、マーケティング戦略に則ったPRのお手伝いがウェイトとして増えていますね。具体的には、商品ローンチやサービス開始のタイミングで、どのようにパブリシティを獲得していくのかという活動です。
物延:マーケティング活動としてのPR施策は、瞬間風速的にコミュニケーションの“山”を作る類の施策と中長期的な戦略に則って定常的に行う施策、大きく2つのアプローチにわけられると思います。どのような目的の場合にどういった施策を行うことが多いのでしょうか。
天野:商品ローンチのプロモーションの場合、瞬間風速で山場を作る施策を行う場合が多いです。それに対して企業イメージをじわじわと変えていくような、いわゆるブランディングが目的の場合は、ある程度のスパンをかけて、月々にどういう活動をしていくのか設計します。
物延:瞬間風速型だと、着火剤としてWebニュース媒体やテレビの情報番組などに取り上げられることが重要になってくるかと思います。どのくらい露出すれば成功なのかを測る指標はあるのでしょうか?
天野:瞬間風速型の場合は、露出量がKPIとして求められますが、正直、計算が成り立ちにくい部分もあります。そのため“何が語られたのか”という点も含めてKPIを設計します。
物延:なるほど。パブリシティはほとんどの場合、できる限り大きく取り上げてもらうことが好ましいと思うのですが、露出量を見積もることはなかなか難しいですよね。とにかく露出を稼ぎたいのであれば、いかにYahoo!トピックスに取り上げてもらうかという話があると思うのですが、実際はそう簡単に載るものではないですよね。
天野:そうですね、なかなか難しいと思います。大手のポータルサイトは、自社でニュース記事を書かずに、ニュース配信元の媒体からニュースを購入するスタンスが基本です。いったん、ニュース配信元の媒体から配信されるニュースを集約して、その中から媒体ポリシーに合わせて必要な情報をピックアップして掲載しています。そのため、Yahoo!トピックスへの掲載は、Yahoo!の中でニュースをピックアップしている人の目利き次第ということになります。
物延:そうですよね。Yahoo!トピックスでの掲載を狙うとしても、ニュース配信元の媒体にアプローチして、Yahoo!には直接アプローチしないですよね。具体的にどの媒体にアプローチするのでしょうか。
天野:Yahoo!さんなどは配信元の一覧をサイトに掲載しています。一覧を見て媒体にアプローチすることが一般的です。(参考:配信元一覧)
物延:たくさんあると思うのですが、ニュース配信元サイトの中で影響力の“強い”媒体はあるのでしょうか。
天野:基本的には新聞系・エンタメ系が多い印象です。ただし、やはりコンテンツ次第なので、どの媒体にアプローチしたから確実に取り上げられるというものではありません。メディアとコンテンツの相性もありますし、そういう意味で計算するのは難しいです。