ツイッターとフェイスブックで異なる、ソーシャルメディアの運用
NHKが運用しているツイッターの公式アカウントは現在80以上ある。代表的なアカウントのひとつであるNHK広報局のアカウント「@NHK_PR」のフォロワー数はすでに40万人を超えている。常にマイペースなツイート、融通無碍なフォロワーとのやりとりに、思わずファンになった人も多いだろう。NHK内部でも、誰が担当者なのかほとんどの人が知らないという「@NHK_PR」の中の人に、ツイッターアカウントを運営するうえで心がけていることを聞いた。
「これだけ多くの方にフォローされるようになるとは思ってもいませんでしたので、ものすごく焦っています。だんだん規模が大きくなるにつれて、さまざまな立場のフォロワーさんも増えますので、どうしても表現が丸くなったり、誰にでも分かる言葉を選ぶようになったりしがちですが、あえて振れ幅のあるツイートを続けるように心がけています。ただ『品がない』といった厳しいご批判もありますので、まだまだ手探りの状態です。」
とはいえ、「NHKのアカウントがツイートしていたので、ためしに番組を見たら案外とおもしろかった」「NHKって堅苦しい放送局だと思っていたけれど、ツイートを見ていると、どうも堅苦しいだけじゃないようだ」といったうれしい反応もあるという。これからの運用については「ユルすぎず、堅すぎず、バランスのよいツイートを心がけたいです」とコメントしてくれた。

数多い公式アカウントの中にはフォロワー数がなかなか増えないものもある。特に地方放送局では、担当者の負担になる場合もある。今後は、運用状況を見ながら整理していくことも考えているという。
「フェイスブック編集部」を立ち上げて、英語版も開設
アカウントの多いツイッターに対して、フェイスブックで開設しているページはひとつだけ。フェイスブックはツイッターとは違い、長いテキストを載せたり、さまざまな表現が可能なため複数の番組を紹介できる。当面はNHKとして、ひとつのフェイスブックページを運営するかたちでやっていく。
また、フェイスブック運用については、提供する情報が偏らないように新たにフェイスブック用の「編集部」を設けて、デジタルサービス部を含む複数の部局で相談をしながら運用していく。また、今年の夏前には、英語版のフェイスブックページを開設する予定となっている。
アクセス解析とサイト改善
サイト運営においては、ページビューやユニークユーザー数、動画再生回数など、さまざまなデータを収集して改善していくことになるが、NHKではこうしたデータ分析についてはどのように取り組んでいるのだろうか。
「昨年(2011年)秋にログ収集の基準を変えて、新しいログ解析システムを導入しています。ログ収集の際に、検索サイトからのクローラーなどのアクセスを除外して算出するよう、23年度の途中から新しい基準でページビューを出しています。」(松村氏)

この新基準によるNHKオンラインのアクセス状況を聞いたところ、1月29~2月4日までの1週間のページビューは1億2200万PV。ユニークユーザー数で430万となっている(NHK調べ・新基準による計測)。
NHKオンライン上には何千という動画がある。しかし、ほとんど見てもらえないもの、再生はされたが途中で見るのをやめてしまったものなどさまざまだ。松村氏は「これからは動画についてもその効果を測定し、費用対効果をはかったうえで、視聴状況の把握について考えようとしているところ。このあたりはまだ模索中です」と説明する。