顧客がもっとも知りたがる情報は何か?
2つ目は、『顧客がもっとも知りたがる情報は何か?』を改めて振り返ってもらった。営業で効くコンテンツはWebサイト上でもキラーコンテンツになる可能性を秘めている。
この業界は競合他社がどの企業がどんなテイストで新築マンションを売り出し、その売れ行きや施工会社に至るまで徹底的に分析されている業界だ。それだけに、特に話題となるような実績ができたときの反響も大きい。人気のあった物件のデザインや施工に関わる会社は注目の的となる。
そのためファーストコンタクトの営業では話題になった事例が非常に重視されているとのことだった。E社での実績は年間1,000ケースくらいに及ぶ。営業担当は引き合いがあったときに顧客の要件に合わせて、それらの事例からピックアップして事例を紹介していた。
しかし、残念ながらWebサイトに掲載されている事例は3つ、ほんの一握りの情報しか掲載されていなかった。もちろん事例が求められていることは現場に認識はあったが、いかんせんWebサイトに公開できるように取材をし、許可をとり、デザインをするには労力がかかる。そのためせっかく優良な実績ができ、大きな反響があっても、積極的に実績を告知できていないことがはっきりとした。
顧客がもっとも知りたがる情報こそ、リード獲得などコアとなる施策に使おう。少しでもWebサイトでのコンバージョン率を上げるために、時間を区切って、改めて事例を掘り起こすこととなった。
2つの振り返りを通じて、E社では、3つのステップで事例をメールで送付する施策を行うこととなった。
【ステップ1】有力事例をシートに起こす
普段の営業プロセスでは、営業をコンテンツ面から支援する資料やデータを作成するのに、なかなか労力を割くことができない。プロジェクトをきっかけに過去の有力事例のシート化を行った。
【ステップ2】Webサイトでは事例をすべて公開しない
事例をすべて公開すれば、もっと知りたいという顧客の欲求を喚起できない。そこで、事例をカテゴリごとに数点に絞り公開。より事例を知りたい顧客へはアドレス入力で事例集をダウンロードできるフォームを用意した。
【ステップ3】既存の名刺には、すべて営業担当名にてメールを送信
一般的なメールマガジンではクリック率はよくて5%程度。メールマガジンでは、せっかく2,000枚にアプローチしても100件程度のクリックしか期待できない。そこで、すべて営業担当から個人名でメールを送信し、一般の人はアドレス入力をしなければもらえない事例集をすぐにダウンロードできるメールを送信した。
既存の接点のある顧客へはメールを送付することで、クリックを喚起し、連絡が途絶えてしまっている企業担当者に再度コンテンツを見てもらう機会を提供した。すると、メールのクリック率は50%を超え、1,000UU以上の集客をWebサイトに獲得できた。2ヶ月位以内に実際に商談に結びつく引き合いも獲得することができた。