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2年目の美咲、新たな困難に挑戦!『ソーシャルメディアマーケター 美咲2年目』発売特別企画 ─ 第3回


 「なるほど!ツイッターの『リスト機能(注6)』が手がかりになったのか!」

 黙々と手を動かしていた拓也がモニターを見ながら言った。

 「えっ?リスト機能が手がかりになるってどういうこと?」美咲は脇から覗き込みながら聞いた。「問題のツイートをしてしまった淀川さん。たぶん、淀川さんの同僚がつくっていた『日本ビバレッジ』ってリストに入れられていたんだよ」

 「えっ 」

 確かにツイッターにはフォローしている人をグループ分けできるリスト機能がある。私も、フォロイー(フォローしている人)が300人を超えたあたりでタイムラインが追いきれなくなって、『広告』『ネタ帳』『友達 .高校』『友達 .大学』などのリストを作った。まさか『人が作ったリスト』によって自分の勤務先がわかってしまうなんて……、これは盲点だったわ。「自分が勤務先を明かしていなくても、他人が作ったリストに入れられてしまったらどうしようもないもんね。まずここで『アイスマン=日本ビバレッジ勤務』ということが推定されることになったわけだ」

 「でも、仮に勤務先がわかっても、個人まで特定できないわよね。なぜ個人の特定に至ったのかしら」

 「フェイスブックだよ。調査によると、フェイスブックユーザーの約 %は実名で登録していて、有職者のうち、約 %は勤務先を公開している。淀川さんはツイッターのリスト機能によって勤務先が特定されてしまったから、次はフェイスブックで『日本ビバレッジ』と検索されたんだよ。淀川さんは、フェイスブックで勤務先を公開していたんだ」

 「でも、フェイスブックで実名と勤務先を公開しても、誰がツイッターの『アイスマン』なのかはわからないわよね?」

 「うん、普通だったらわからない。まとめブログによると、フェイスブックで『勤務先:日本ビバレッジ』と公開している人は全部で15人いたらしい。そのうち男性は12人。ツイッターの投稿内容や表現からアイスマンは男性であることがわかっていたから、12人全員のウォールを順番にチェックしていったんだろうな。そして、淀川さんのウォールがチェックされたとき、ある投稿についたコメントが決定打となった。『期限前にタスク完了!さすが俺!』という淀川さんの投稿に、『さすがアイスマン!』というコメントが ついてたんだ。きっと、『ツイッターのアイスマン=フェイスブックの淀川さん』であることを知っている仲の良い友人がつけたコメントなんだろうね」

 「なるほど。ツイッターのユーザー名はアイスマン、性別は男性、勤務先は登録リストで日本ビバレッジ勤務であることが推察されたのね。フェイスブックの日本ビバレッジ勤務先公開者の中で、淀川さんという人の投稿に「さすがアイスマン」というコメントがついている。うーん、たしかに、これで『アイスマン=日本ビバレッジ勤務の淀川さん』ということが符号したように見えるわ。でもまだ確証は得られないわよね。もしかしたらアイスマンというニックネームの人が2人いることも考えられるし」

 「そうなんだ。掲示板の人たちもそこらへんはわかっていてね。もしまったく関係のない人を飲酒運転の犯人にしてしまうとまずいから、彼らも徹底的に検証を重ねる。次に彼らは、『さすがアイスマン!』とコメントした友達のウォールを調査したんだ。

 そうしたら、2週間前にフェイスブックの淀川さんと一緒に多摩川でバーベキューをしている写真が投稿されていた。友達が投稿した写真には淀川さんの『タグ付け』(注7)がされていたから、『さすがアイスマン』とコメントした友達と一緒にバーベキューをしていたことは間違いない。そして、彼らはもう一度アイスマンのツイッターに戻る。そこに2週間前の同日、アイスマンのツイッターに「今日は仲間みんなでBBQ@多摩川☆ワイワイ☆」という投稿が発 見されたんだ。これで完全に『アイスマン ⇔日本ビバレッジ勤務 ⇔フェイスブックの淀川さん ⇔フェイスブックに登録されている様々な個人情報』が符合したというわけだ」【メモ3】。

注6 リスト機能

 ツイッターのユーザーをグルーピングできる機能。フォロイー(フォローしている人)が多くなり、ひとつのタイムラインですべてのツイートをチェックできなくなることを助けるもの。リストは誰でも自由に作ることができる。自身がどんな名前のどんな括りのリストに入れられるかはリストの作成者次第で、リストに入れられる側はリスト作成者をブロックしない限り拒否することはできない。

注7 タグ付け

 主にフェイスブック上で、あるコンテンツや投稿に対して相手を自分の友達としてリンクを張り付けることを指す。タグ付けによって、友達に(友達が写っている)写真などを通知することができる便利な機能。しかし、プライバシー設定で別途設定をしない限り誰からも自由にタグを付けられ、関係性が明示されてしまうため、近年トラブルも増え始めている(例:相手が自分をタグ付けした写真を公開すると、自分のウォールにもその写真が掲載されてしまう)。こういったトラブルの発生をうけ、フェイスブック社は、プライバシーの基本設定を「タグ付けは当事者の承認が必要」に変更する可能性があることを示唆している。

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MarkeZine(マーケジン)
2012/03/19 10:26 https://markezine.jp/article/detail/15331

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