キーワード2:インターネット上での統合的な体験管理(Web Experience Managment)
「デジタル・セルフ」のデータを有効活用するには、その時の訪問だけではなく、「利用者」に対して最初から最後まで一気通貫の体験をさせてあげることが重要です。これを実現するために、アドビは従来のコンテンツ管理システム(CMS)の代わりに、「Web Experience Managment(WMS)」、すなわちウェブ体験のマネジメントシステムを提案しています。その中心となる製品が、さきほど紹介した「CQ 5.5」です。
これは単純にウェブサイトだけではなく、デバイス超えの最適化、あるいは、オンラインとオフラインを接続した最適化が必要となります。キーノートでは「あるデバイスで見たコンテンツをもとに、他のデバイスでも同じジャンルのコンテンツを表示する」「米国の家電量販店『Best Buy』の店頭で値札に表示されているQRコードをスマートフォンで読み取ると、位置情報なども加味した最適な情報を表示する」といった例が紹介されていました。「Adobe Insight」というツールを利用して、リアルタイムにQRコードが読まれたことを地図上に表示していたのも印象的でした。
「Web Experience Managment」を実現するには、制作・分析・集客・開発などの部署がバラバラでは実現できないと筆者は感じました。また、アドビが提案するように、これらの役割が統合管理できるツールも必要でしょう。とはいえ、そうした統合は一筋縄ではいきません。これだけの仕組みを用意できる会社も限られるかと思いますが、日本基準から世界基準にたどり着くに、目指すべきひとつの方向性を提示してくれました。
