「ゲーミフィケーションって何?」なんて言ってる場合じゃないんですよ
日本初の大規模イベント「ゲーミフィケーション・カンファレンス2012」が6月28日に東京で開催される。開催を前に、本カンファレンスの運営委員3名が一堂に会し、今回のイベントへの意気込みを語った(運営委員会は、本対談に登場する3名と、株式会社NHK出版 久保田大海氏を合わせた4名がメンバー)。
自身のブログ「gamification.jp」を立ち上げ、書籍を執筆し、自社サービスを通じてゲーミフィケーションの普及に努めてきた、ゆめみ代表取締役社長の深田浩嗣氏は、昨年の秋頃からイベントをやりたいと考えていたという。米国だけでなくアジアでもゲーミフィケーションをテーマにカンファレンスが開催されているなかで、深田氏は英語圏の動きの早さに対して日本の遅れを感じていた。「ゲーミフィケーションってなに?と言ってる場合じゃないんですよ(笑)。本当に。海外では事例が数十というオーダーでありますので。いかにその時間差を縮めるのかというのが僕らのテーマでもあります」と語る。
その思いをぶつけたプログラムでは、国内外からスピーカーを招き、ソーシャルゲームの第一人者によるディスカッション、脳科学・心理学といったアカデミックな立場からのディスカッションが行われるほか、米国での事例だけでなく、貴重な国内事例も紹介するなど、まさに盛りだくさんの内容。さらに、企業内の人事や教育における応用、BtoBマーケティング、セールスプロモーションでの活用など、ゲーミフィケーションが導入されているさまざまな分野の事例について知ることができる。話を聴くだけではなく、実際にゲーミフィケーションをデザインするワークショップも開催され、手と頭を使って理解を深める場も設けられている。
ソーシャルとゲーミフィケーション、最強ですよね
ループス・コミュニケーションズでソーシャルゲームのコンサルティングを手掛ける岡村健右氏は次のように語る。
「ソーシャルメディアのコンサルティングをやっていると、コミュニティを活性化させるためにどうするかということがテーマになります。すると、自然とゲーム的な盛り上げ要素やインセンティブをどう与えるかということを考えるようになります。
ゲーミフィケーションというキーワードを使っていないけれど、皆さんがやりたいのはそういうところなのかなと思います。実は昔からあるテーマなんですよね。ですから、今回のテーマのひとつは『みなさんがやりたいのはゲーミフィケーションなんですよ』と気付いていただくことでもあります。」
また、なぜゲーミフィケーションというものが出てきたのかについて、岡村氏は「ソーシャルメディアの普及ということが一番大きい」と指摘する。
「よくゲーミフィケーションでは、課題・報酬・共有ということが言われます。今まではゲーミフィケーション的なものをお客さんが1人でやっていましたが、ツイッターやフェイスブックでどんどん広がったり、友達とやるようになる。ダイエットと同じで、ひとりでやるよりも、みんなでやったり、みんなに見せるほうががんばることができる。それがソーシャルの力でできるようになったのは大きい。ソーシャル単体ではなく、ゲーミフィケーション要素を加える。この2つは両輪です。まさに、ソーシャル+ゲーミフィケーション=ソーシャルゲームなんです。」
この意見に深田氏が大きくうなづきながら「ソーシャルグラフの使い方が一番うまいのはソーシャルゲームですよね」と同意すると、岡村氏は「どちらの要素も入っている。最強ですよね」と語った。