メディアサイトの3つの分析方法
メディアサイトの売上は大きく2つに分類することができます。ひとつは「広告掲載」「タイアップ記事」といったクライアント経由の売上、そして、「有料会員」「有料サービス」といったカスタマー経由の売上です。今回は主に前者の話が中心になります。
※筆者注:ここから先はアドビ システムズの製品「Adobe SiteCatalyst」の実装方式に触れる箇所がいくつかあります。実装内容自体は理解する必要はなく、「こういうことをすればよいのか」というところをつかんで、他のアクセス解析ツールや集計時に応用していただければ幸いです。
1. 広告が見られるたびに成果として計測しておく
ゴールドスタイン氏は、メディアサイトのマネタイゼーションを分析するための3つの手法を紹介しました。
ひとつ目に紹介された最も簡単な分析方法は、広告が見られるたびにそれを成果として計測しておくということです。Aという広告が表示されたら成果Aを1回発生させる、Bという広告が表示されたら成果Bを1回発生させるといったかたちになります。SiteCatalyst的にいうと「event変数」を使って実現します。
そして、この結果をページ単位、あるいは記事のカテゴリ単位ごとに分類して、効果を確認します。以下がそのレポート画面になります。
左側にはカテゴリ名(NewsとSports)があり、それがさらに記事の種類(Slideshow、Article、Viedo、Blog、Other)に分かれています。そして右側に表示されているのが、ページビュー、スカイスクレイパー広告、リーダーボード広告と、ページあたりの広告閲覧数((スカイスクレイパー広告+リーダーボード広告)÷ページビュー数)になります。
この表を見ることで、広告が効率良く見られている画面や、カテゴリごとのインプレッション数の違いなどを確認することができます。つまり、Impression/Pageが多い所のほうが、効率良く広告のインプレッション数を集めることができるのです。
ここで紹介した方法は、広告の種類ごとの成果を使ってしまいます。SiteCatalystでの成果数には上限があるので、サイトでProduct変数を利用していない場合は、Product変数に閲覧した広告の種類などを変数としてセットして渡すことができます。List変数を利用することで、カテゴリをまとめて分析することも可能です。
2. 「広告の種類」と「広告主」の情報を変数として取得し、掛け合わせる
次の方法は、広告の種類だけではなく「広告の種類」と「広告主」の情報を変数として取得し、それを掛け合わせて確認する方法です。広告主ごとにどういう広告に人気があるのか、ということがひとつの画面で確認できます。
ある会社は「タイアップ記事広告」のアクセス数が多く、別の会社は「特選ウィジェット」が人気かもしれません。このように広告主ごとの効果を確認するための実装も、先方へのレポート提出も含め非常に有効です。
3. SiteCatalystのSAINT機能を使う
最後に紹介された方法はSiteCatalystならではの方法です。SiteCatalystには変数に対して値を紐付けてアップロードするSAINTという機能があります。さらに集計期間によって値を変えることも可能です。
たとえば「A社のBという広告枠」に対して、CPM(1000ページビューあたりの金額)で課金している場合、その情報を以下のような表にまとめます。
期間 | CPM |
---|---|
2012/01/01 – 2012/01/31 | 0.012 |
2012/02/01 – 2012/02/28 | 0.015 |
2012/03/01 – 2012/03/31 | 0.012 |
表には期間ごとのCPMが表示されています。このファイルをSiteCatalystにアップすれば、以下のように、具体的な広告売上金額を画面上で確認できます。
2つの表の右上にある「eCPM(effective CPM)」がその値に該当します。右下にある表の「Slideshow」の行では、$2.65分のインプレッションがあったことがわかります。ちなみに「Value」はこの広告を閲覧した人経由の売上です(クリックした・していないにかかわらず)。
ゴールドスタイン氏は「このように実装を工夫することで、広告の効果をより可視化したり、売上換算して数値を把握することができます。変数を取得できるアクセス解析ツールであれば、有効活用できる内容なので、ぜひ試してみてください」と締めくくりました。