8割ものノンアクティブ層をどう活性化するか
EPSON Americaのクリス・ニッケル氏は、メールの反応が全体的に落ちてきている原因を分析して驚くべき現実と向き合った。アドレス登録者の80%が36か月間以上の間、メールを開封・クリックしていなかったのだ。
そのため、登録者との関係性を改善するために、これまで一斉配信が主体だった販促メールを購買実績とメールレスポンスの頻度(Frequency)や鮮度(Recency)に基づいたセグメント配信に移行することをはじめた。下の画像は、同タイミングで配信されたセグメント別メールコンテンツである。
左からプリンタの非ユーザー、エントリーユーザー、ロイヤルユーザーにそれぞれ対応していて、非ユーザーには送料無料キャンペーン、エントリーユーザーにはアップグレードキャンペーン、ロイヤルユーザーにはサプライのオファーを訴求している。

販促メールの削減はもちろん売上減少リスクを伴ったが(実際最初は売上がやや減少した)、クリス・ニッケル氏はまずエンゲージメントを高めることが先決だと考えたという。
さまざまなセグメントメールの配信を試しつつ、ノンアクティブユーザーの活性化を目的とした「Win Back Campaign」も実施した。12か月間メールを開封・クリックしなかったユーザーに対して自動的に実施されるプログラムだ。残念ながら、プログラムの詳細は発表されなかったが、これによってノンアクティブユーザーを15%程度活性化することができたという。
こうして、EPSON Americaではセグメントメールへの移行などによって年間のメール配信総数の大幅削減に成功。その結果、メール経由の売上は140%増加したという。
レスポンスの低いセグメントにはwelcomeプログラムを強化
オリジナル化粧品通販Philosophyでは、広くメールアドレスの登録者を獲得し、その後のコミュニケーションを通じて顧客化するという手法をとっている。

ティファニー・ベリー氏は、メールのレスポンス状況が登録者の流入経路によって大きく異なることに気が付いた。Philosophyは、色々な方法で新規メールアドレス登録者を集めているが、その中でもソーシャルメディア上で行っているサンプリングキャンペーン経由での登録者はレスポンス率が低い。調査の結果、全体平均と比較するとエンゲージメント率(半年間の間でメールを開封又はクリックする割合)が50%、コンバージョン率は10%であることが分かった。
登録者の動機が全く異なるのに、全く同じプログラムで対応していたことに問題があったと考えたベリー氏は、全体への一斉配信メールの頻度を減らしてセグメントメールの割合を増やした。
そして、エンゲージメントが弱いサンプリングキャンペーン経由のユーザーに対しては、通常のプロモーションメールの配信数を削減し、逆に登録直後のwelcomeプログラムで登録動機に合わせた手厚いコミュニケーションを行うことにした。
下の画像はエンゲージメントレベル別にセグメント配信されたメールコンテンツの例である。左のパターンが基本型。真ん中のパターンは多少エンゲージメントレベルが高いユーザー向けでFacebookでのシェアを促す内容が含まれている。右がロイヤルユーザー向けのパターンだ。

このような取り組みによって、全員に送る一斉配信メールを約4割削減し結果的に売上は50%アップしたという。