フィリピンの基本情報
アドウェイズ海外事業部フィリピンユニットの榊原清隆です。私はアドウェイズのフィリピン現地子会社Adways Philippinesで、既存ITサービスと開発拠点運営に従事し、現在は現地マーケット調査、国内向け新規事業開発などを担当しています。
今回は、アドウェイズが2011年に進出し、東南アジア諸国の中でもまだほとんど注目されていないフィリピンの知られざる実情について紹介します。
まず、基本的な情報からおさらいしましょう。フィリピンは人口が約9410万人(2010年推定値)、総面積が約30万平方キロメートル、大小7100を超える島々からなる群島国家です。ASEAN諸国の中では人口はインドネシアに次いで第2位、人口増加率も2005~2010年は1.727%(2005-2010年推定値)と高い数値を保っており、人口増加による安定的な経済成長が予想されている国です。
高年齢層の人口が顕著に多い日本のピラミッドに対して、フィリピンは若年層ほど人口が多くなるきれいな三角形となっています。今後30年にわたって被扶養者が減り続け、働く人が増える人口ボーナス期が続く見込みです。
インターネット普及率、モバイルの普及率は?
フィリピンのインターネット利用者数はすでに2500万人になるといわれており、国民の4分の1が何かしらの形でインターネットを利用しています。インターネット固定回線の普及率は4%程度とまだまだ低い数値ですが、インターネットユーザーの多くがネットカフェやオフィス、最近ではポケットWi-Fi型の3Gネットワークサービスなどを通じて接続しています。
一方、携帯電話の普及率は非常に高く、2010年時点で人口の9割弱にあたる約8300万人にのぼります。ユーザーのほとんどがテキスト送信サービス(SMS)の利用を目的に携帯電話を使っており、フィリピンの1日のSMS流通量は1日あたり約7億件。これはヨーロッパ全体の1日当たりのSMS流通量に相当し、世界で最もSMS利用が盛んな国といわれています。
その中で3G携帯の普及率は、2010年時点で全携帯端末保有者の7%程度。2012年直近の保有者数は公開されていませんが、2012年現在は9~10%程度であると予想されています。ユーザーの多くは2G携帯が主流で、AndroidやiPhoneのスマートフォンの普及率は3G携帯保有者の3割程度といわれているので、まだまだこれからという感じです。
東南アジア最大の英語国家
IT企業やコンシューマ向けサービスを提供する企業からは、なかなか進出先として選択されない感のあるフィリピンですが、最近ではオンライン英会話サービスや語学留学の対象として、徐々に日本人にも浸透し、少しずつ注目が集まりつつあると実感しています。
フィリピンは東南アジア最大の英語圏です。タガログ語という公用語があるものの、日本でいう小、中学校の時期から英語で授業を行っており、大学卒業者などの高学歴者でなくても、ほとんどの人が第二言語として自然に英語を使うことができます。したがって、英語発話者の人材コストが非常に安く、英語を使うビジネスを行う場所としては非常に適しているといえます。オンライン英会話サービスなどは、こうした安くて豊富な英語リソースを使って日本人を相手にするビジネスのモデルケースといえるでしょう。