BtoB編:ゲーミフィケーションを活用したコンテンツ体験
荒井氏のプレゼンはゲーミフィケーションを活用した事例「FIFTEEN MINUTES LOVE」「SMART NINJA」の紹介から始まった。「FIFTEEN MINUTES LOVE」はタレントの矢部美穂など5人の美女と15分間しか使えない「クイックメール」をやり取りしてモテキ体験ができるコンテンツだ。

このコンテンツは浮気はダメですよ、という啓蒙目的で作られたわけではもちろんない。BtoB商材のEV電池が15分で急速充電できることを、男性をターゲットに15分間のモテキ体験を通じて訴求するミッションがあった。
電気自動車を購入する際には二次電池(充電式電池)にも注目してほしいこと、東芝が二次電池を生産している事実を一般の人に認知してもらうことが、このプロモーションの目的であった。コンテンツはPC、スマートフォン、タブレットなど様々なデバイスに対応していた。
また「SMART NINJA」の企画は4月19~21日の「Earth Day NY 2012」で、アバターとKINECTセンサーを利用した体感・参加型コンテンツである。これは日本で企画・作成したコンテンツをアメリカのイベントで使用した初めての試みであり、今後はカナダ、シンガポール、パリとグローバルに展開していく予定だ。グローバル企業として世界各国で統一した理念に基づき、ソーシャルコミュニケーションを進めていく事例である。
クリエーターをYouTubeで自ら発掘、ペイドメディアを使わずして中国まで波及

荒井孝文氏
先ほど紹介した「FIFTEEN MINUTES LOVE」は、広告出稿を行っていないが、ツイート数約2,000件、90万ユーザーにリーチ、月間PV25万という結果を残した。これは以前、マス広告を使ったプロモーションと同程度の反応だという。
情報の拡がり方としては、まずNews2u.netを利用してリリースを配信し、それが朝日新聞デジタル(旧:asahi.com)に掲載され、そして中国最大手のポータルサイトQQ.comへ転載された。ターゲットにウケるコンテンツを作り、ソーシャルメディアとPRを上手に活用することで、露出を増やすことに成功。その結果、情報がうまく拡散していった好事例である。
一見、この2つのコンテンツは多大な予算をかけて作りこまれているように見えるが、実は広告代理店に依頼する形をとっていない。自社で直接クリエーターを発掘して、低予算で実行することができた企画であった。
「すごく予算をたくさん持っているんでしょう、とよく言われますが、実際はYouTubeなどから世界で話題になっているクリエーターを見つけて、こちらから直接コンテンツの制作をお願いしている。広告という形で作っていないから、広告費は格段に安くできる」(荒井氏)