販促にかけるコストを消費者に還元する
一方で、小売業界は限られた予算で来店に関する販促活動を行っており、新たに広告費を増やして集客することが難しく、かえって広告費は削らないといけないという流れの中にあります。このような状況下でスマートフォンが登場してきたことは、小売店にとってはひとつのチャンスだと思います。
たとえばチラシを使った販促の場合、仮にチラシ1枚を都内で撒くために約5円のコストがかかるとすると、100枚撒いて1人来店したとしても、その時点で1集客あたりの販促費が500円かかっているということになります。
これらの伝統的集客媒体は、スーパーマーケットの客単価や粗利益からみるとコストの面で厳しいのですが、「チラシをやめる恐怖感」「競合対策の観点」などから、チラシ市場は過去5年間で思ったより減っていません。折込料だけでもインターネット広告に匹敵する市場規模があるのが現状です。
出典:「2011年 日本の広告費」(電通)

消費者としても、チラシを受け取ってもゴミになるだけですので、1集客あたり500円もかかっているのであれば、お店に行く代わりに500円を値段やサービスに還元してもらった方がうれしいでしょう。また、紙やインクを使うことがなくなれば地球環境にも良いはずです。「スマポ」はそのような考え方のもとに生まれた来店促進サービスで、来店したユーザーに1人あたり数十円を還元することで、来店動機を高めることが可能となります。
小売業界も右肩上がりで成長するような時代でない今、販促にかけるコストを削り、その削った分をできるだけ消費者に還元することが、消費者を店舗のファンに育て、来店につながる大切な要素となっているのです。
来店動機を高めることは簡単ではない、ではどうやって?
当社のポイントサービス「スマポ」を運営するなかで、このような小売業界全体のトレンドと「スマポ」との親和性を強く実感しています。小売店を訪れる消費者の来店動機と購買動機が分離するなか、「スマポ」は来店動機にスポットを当て、スマートフォンを利用してそれを高めることを可能にしたサービスといえます。
私は同時に、ユーザー目線に立って考えると来店動機を高めることは簡単ではないと考えています。たとえば、家の中でパジャマを着てPCの前に座っている人を、まだ行ったことのない店に、電車で30分もかけて連れ出すことは大変難しいことです。そこで、来店動機を高めるためにはどんな仕組みが必要になるのか考えた際、消費者が何かのついでに立ち寄るという行動を増やさなければ、来店数は増えないだろうと考えました。

たとえば、友達と有楽町で待ち合わせをしていて、約束の時間の15分前に着いてしまうという場面はよくあると思います。この15分という中途半端な空き時間をどう使えばいいでしょう。もし、「スマポ」を使っていれば、有楽町のビックカメラに立ち寄ってポイントを貯めつつ、ウィンドウショッピング、またはついで買いをしながら時間をつぶすことができます。これは、「スマポ」を介して、ユーザーが興味を示すようなコンテンツを提示していることにつながります。
「スマポ」はお店で何も購入しなくても、来店するだけでポイントがもらえます。この「来店ポイント」というインセンティブを提示することによって、ユーザーの敷居が一番低くなった状態で、誘導したい店舗への来店を促すことができるのです。