SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

SUUMOに学ぶソーシャル×ブランドコミュニケーション

ソーシャルメディアを活用したブランド戦略では、守りのコミュニケーションが重要 「考える機会」がルールを浸透させる 


 ソーシャルメディアを活用したSUUMOのブランドコミュニケーションとは? リクルートのブランドチームリーダーがその戦略とノウハウを公開します。第5回は、社員ひとりひとりが高い意識を持つことで実現する、守りのコミュニケーションについてです。

ソーシャルメディアでのコメントを傾聴することが、ブランドを守ることにつながる

 ソーシャルメディアを活用したブランド戦略を考えた時に、炎上リスクをまず最初に思い浮かべる方々も多いかと思いますが、私たちはソーシャルメディアに進出することこそ、炎上に対する危機管理になると考えています。

 ソーシャルメディアがこれほど浸透してきた今、ソーシャルメディアを企業として活用しているかどうかに関わらず、すべての企業がソーシャルメディア上での炎上リスクを抱えています。例えばSUUMOの場合、物件情報が間違っているとか、サイトが正常に稼働していないといった、マイナスイメージにつながる指摘がソーシャルメディア上で発せられることがあります。

 カスタマーが抱かれた負の感情は消すことはできませんし、ソーシャルメディア上での発信を止めることもできません。一番のリスクは、マイナスイメージなコメントが発せられているのに放置しておくことなのです。

 SUUMOでは、公式アカウントでのコミュニケーション以外でも、平日、休日を問わず恒常的にソーシャルメディア上のコメントをウォッチして、キャラクターとしての「スーモ」だけでなく「SUUMOブランド」についてどういうことが語られているのかを常に確認しています。そして、有事の際には、担当者が必ず数時間以内に対応する体制を整えています。

 これは、ブランドを預かる担当者は経営者レベルでの危機管理意識が求められていることを意味しています。自分が経営者であれば、自分のブランドの評判は気になるはずですし、お客様を不快に感じさせることが起きていれば対応したくなるはずです。

 事業戦略の1つであるブランド戦略を担う者には、高い意識が求められています。例えば、当たり前のことですが、公式アカウントのフォロワーか否かを問わず、キャンペーンのプレゼント発送後に「プレゼントのカップが当ったのに、届いたら欠けていた」というツイートを発信しているのを見つけたら、即アプローチして「連絡先を教えていただければすぐに再送させていただきます」等、なるべく早く対応するようにしています。

 こうしたひとつひとつの行動が次の評判を作り、ブランド資産を築き上げることに繋がっていくのです。ブランド戦略のお話をすると、前回お話ししたような華々しい攻めのコミュニケーションを想像されることが多いですが、ソーシャルメディアでのブランド戦略では、守りのコミュニケーションこそ、重要な仕事であると常々感じています。

社員のソーシャルメディアでの発言には、機密情報漏洩とブランド毀損のリスクがある

 誰もが気軽に情報を発信できるソーシャルメディアは、その拡散力の強さから企業にとっては機密情報漏洩とブランド毀損というリスクを含んでいます。例えば、リクルートのとある事業で、新規事業の担当者であることをプロフィールに明記している人が「出張で上海にチェックイン」というポストをしたとします。国内での事業を中心としていたリクルートが海外に行くことを発信することは事業戦略流出であり、機密情報漏洩になります。

 また、SUUMOに関連していることをアカウント上では謳っていなくとも、やりとりからSUUMOの関係者だとわかる社員がソーシャルメディア上で特定の団体や行為を批判したり、推奨した場合、SUUMOブランドとしての批判や推奨ととられることはブランド毀損につながるリスクをはらんでいます。

 ソーシャルメディア上での発言において、どこまでがOKで、どこからがNGになるのかということは、非常に難しい線引きです。これを社員各々のリテラシーに委ねるのはあまりにリスクが高いと考え、私たちはソーシャルメディアガイドラインを作成しました。しかし規定を作って共有しても、誰も見ない、守られないものでは全く意味がありません。また、ルールを細かく規定していったとしても、社員が自分で判断できるようにならなければ意味がありません。

 大切なことは、社員ひとりひとりがソーシャルメディアで発言することのリスクを自分事として考えられるようになることです。私たちはガイドラインのベースを規定し、あとは社員のみなさんがワークショップでディスカッションしながら細かい線引きを作っていくことで、ガイドラインを社内に浸透させていこうと考えました。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
ソーシャルメディア活用のルールは、押しつけではなく、考える機会を設けることで浸透させていく

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
SUUMOに学ぶソーシャル×ブランドコミュニケーション連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

田島 由美子(タジマ ユミコ)

株式会社リクルート 住宅カンパニー 企画室 ブランドマネジメントグループ ブランドチームリーダー。

2000年株式会社リクルート入社。入社以来Webサイトの編集、ポータル提携、集客などインターネット関連業務を担当。現在はTVCMなどのマスコミュニケーション、リアルイベント、ソーシャルメディアを活用したS...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2012/10/29 15:10 https://markezine.jp/article/detail/16095

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング