メディア+代理店+広告主のデータ分析に関するパネルディスカッション
データ分析を実施する際に“誰がイニシアチブをとるべきか”は、重要なポイントだ。本テーマについて、広告主、媒体社、広告代理店の立場からパネルディスカッションが行われた。
口火をきったのは、媒体社側だ。「一次データを持っているのは我々。だから、我々がやるべきだ」と主張した。それに対し、広告主側から、「データは自分たちの経営資産なので自分たちがやるのが一番よいが、代理店は世の中のトレンドや競合の状況、社会背景など“最もマクロな視点”をもっているはず。
だから代理店がやるのもよい。ただし、ハッタリや分析レベルが低いのは困る。ある代理店から『ビックデータ分析しました』と報告を受けたが、エクセルデータをちょっと加工しただけのもので失望した経験もある」。このテーマは議論の収拾がつく話ではないが、悩みどころは日本と同じような点にあるようだ。
当たり前のことをコツコツ進める姿に共感
ローカル企業よりもアメリカ系現地法人の参加が多かったが、全体を通して日本に比べて考え方や技術的に進んでいるという印象はなかった。オーストラリアの広告市場は日本の1/7程度なので、市場規模が小さいということも理由としてあるだろう。アドテクノロジーの活用面においても、アトリビューションや分析技術、アナリストのレベルは日本の方が確実に進んでいると感じた。
しかし、今回は“分析屋の集い”のため、プレゼンに大げさな表現は少なかったが、専門的な議論をまじめに行い、当たり前のことをコツコツ進めている姿勢には、同じ分析屋として共感する点も多かった。
また、印象深かったのが、あるプレゼンの途中で、“In God we trust. All others must bring data.”という名言を引用していた点だ。統計手法を用いた品質管理の権威である、W・エドワーズ・デミング博士の言葉で、同氏は、日本の企業経営者に、設計/製品品質/製品検査/販売などを強化する方法を伝授し、戦後の日本経済復興に大きく貢献した人物だ。日本語訳すると「神のわざであればこれを信じる。神ならぬ人のわざであれば、データが示されてこそ信じるに足る」という意味となり、まさに今回のカンファレンスを表す言葉と言えるだろう。
おまけ:カオスマップーキッチン編!
米DSP大手のMediaMathのプレゼンの中で、カオスマップ(LUMA Display Scape)のパロディ、KITCHEN SCAPEというスライドが紹介された。「原材料から調理完成という時間軸でキッチン製品を整理すると、非常に複雑なのがわかる。せめて広告くらいはシンプルにしたい」というメッセージが含まれているのだと思うが、Microwave(電子レンジ)のところにMediaMathのロゴがあり、 “自動調理を目的とした場合、最初の選択肢は自分たちだ”という意思表示なのではないだろうか。
