新しい発見をしたい場合
大量の言葉のデータから何か発見する事を、テキストマイニングと言うのだが、このマイニングというのは鉱脈の発見を意味している。ゴールドラッシュで金を求め集まった人々が、そこら中に穴を掘って金の鉱脈探しをしているのを想像して欲しい。クライアントに金の鉱脈を見つけてあげられれば最高の成果なのだが、そのような事はまずほとんどない。通常は鉱脈のありそうな場所すらクライアントに示せないだろう。
するとクライアントは「調査依頼をしたのに何もないじゃないか!」と強い不満を感じる。一部の(あるいは多くの)クライアントは「ブログには今までアンケート調査では分からなかった生の声があふれており、そこには新事業への大きな発見がある。ブログを用いてリサーチをかければそれが簡単に見つけられる」と思っているようである。語られているブログが多ければ、金の鉱脈はあると僕も思っている。そして、テキストマイニングのサービスは、それを手伝う強力なツールとなるだろう。しかし、鉱脈の発見をたかだか数週間、1回の調査で出来ると思わない事だ。
ただ、これらのことをクライアントに説明した所で意味はない。彼らはいったんは納得をしたとしても、お金を出すのだから、それなりの成果が欲しいと思うだろう。であるなら我々はクライアントの希望に応えるため、鉱脈を見つける最短かつリスクの少ない確実な方法をとるべきだろう。それが「全体像を把握する事」である。
つまり、まずあなたがクライアントのために金の鉱脈を見つけるための地図を作ってあげるのだ。例えばある業界を調べたとする。その多くは夏に語られているかもしれない。その多くは新製品との比較で語られているかもしれない。そのいくつかは大型電機量販店と共に語られているかもしれない。その分野ではブランド名などほとんど出てこないかもしれない。このような地図が出来ると、どこを掘るべきか。あるいはまったく違う領域を掘るべきかが見えてくる。
闇雲にそこら中を掘った所で鉱脈がみつかるかどうかは分からない。闇雲に掘った場合見つからなければ、成果はゼロとなる。しかしいったん地図を作り、その地図通りシステマチックに掘っていけば、もし鉱脈や鉱脈らしきものが見つからない場合でも、地図が残る。ここは掘ったが、ここは掘ってないと分かる。
また地図があれば、クライアントに「どこを掘りましょうか?」と提案出来る。金の鉱脈探しは金が見つからないかぎり、クライアントは不満を持つだろうが、地図があれば、金の鉱脈を見つけられる可能性がどこにどれくらいありそうかをクライアントに提案出来る、レポートの意味が生まれる。何か発見をしたいというクライアントには、「金の鉱脈を見つけるため、まず地図をつくりましょう」と提案することを勧める。運が良ければ1回のレポートで鉱脈がみえるだろう。実際にそのような例はいくつもあった。