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DeNA流ヒットする女子ゲーの法則

耳を傾けるべきは、業界人でなくユーザーの声 女子ゲーNO.1「農園ホッコリーナ」に学ぶ、ヒットを生み出す9つのポイント

ゲームに対する姿勢は気軽だが、満足のハードルは低くない

ヒットする女子ゲーの法則2:何をやってもうれしくなれる?

 息抜きとして遊んでいるものなので、失敗の体験が多いと離脱してしまう。従って、何らかの達成感やお得感を得られる成功体験をゲームの過程の各所に盛り込むことが重要だ。

 そのバランスはゲームのユーザーによってバランスが異なる。「農園ホッコリーナ」も新規ユーザーの増加によって、作物を植えてから収穫までの時間が「長い」、つまりもっと早くうれしくなりたい、という声が聞かれるようになってきた。

 ただし、それでは、短期的に考えると密度高く楽しめるかもしれないが、次第に早いサイクルのゲームとなり、息抜きとしては負荷が高すぎてしまったり、すぐに飽きてしまったりする恐れがある。もちろん、昨今の新規ユーザーはソーシャルゲームに慣れている人も多いため、日々の習慣として丁度いいペースを調整していく必要がある。時間に対する感覚が少しずつ変化していることを認識しつつ、「うれしい」ペースを追究しなければならない。

ヒットする女子ゲーの法則3:その“かわいい”に意味はある?

 ユーザーのゲームに対する姿勢は気軽なものだが、しかし満足してもらえるハードルは決して低くはない。女性の興味を引くきっかけとして“かわいい”ことが重要なのは間違いないのだが、ただかわいいだけのアイテムだと関心を持たれない。例えば、限定でプレゼントされる動物を収穫するとゲーム内アイテムがもらえるだとか、置いておくとゲームが有利になるだとか、根底にはゲームがあることを忘れてはいけない。

 女性のソーシャルゲームに対する心理として、人にちょっと自慢できたり、自分だけの特別感を得られたりすることは引きが強い。これは、リアルな生活における持ち物と同じで、他人が介在している“ソーシャル”ゲームならではの傾向だろう。かわいくても、誰もが持っているようでは魅力が足りないので、そこに企画性を盛り込む必要がある。

努力はすべて報われたい、いくら便利でも普段と違うことをするのは苦痛

ヒットする女子ゲーの法則4:“詰まない”ようになっている?

 ゲームといえど、いやゲームだからこそ、努力したことは報われたい。そんな気持ちを汲んで、当社のソーシャルゲームではゲームオーバーにならない複数の逃げ道を用意している。仲間からアイテムをもらう、クリアに必要な行動をクエストとして準備しておき、クエスト報酬としてクリアの手助けになるアイテムをプレゼントするなどだ。運に左右されて、積み上げてきたものが一気になくなるような仕掛けも避けている。

 それに、明らかに無理な課題を出されると一気に興味が失せてしまうので、実現可能な範囲のゴール設定を常に意識している。

ヒットする女子ゲーの法則5:基本サイクルの延長で遊べる?

 ソーシャルゲームで月に数回行う「イベント」の企画性は、ゲームの人気を左右する要素のひとつだが、「農園ホッコリーナ」を運営し始めて、イベント専用の画面があったり新操作があったりと、基本サイクルからジャンプした度合いの高いイベントほど反応が悪いことに当初は戸惑った。

 その理由を探ると、「いつもしていることと違うことをするのは苦痛」「そもそも息抜きでやっているのに、慣れないことを強制されたくない」といった気持ちが見えてきた。平時の遊び方から離れすぎない企画の見極めが重要だ。同様に、ユーザーインターフェースも、いくら使いやすいからといって急に切り替えると離脱を招くことがある。

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男性目線で作り込みすぎず、“突っ込みどころ”を残しておく

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この記事の著者

山口 隆広 (ヤマグチ タカヒロ)

株式会社ディー・エヌ・エー ソーシャルゲーム事業本部 SWAT SPWebUXチーム

1981年生まれ。福島県出身。株式会社リクルートメディアコミュニケーションズで求人広告制作や中国向け媒体の業務設計を経て2010年8月にDeNA入社。女子向けソーシャルゲームの企画、企画マネージャーを経験し現在はスマー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/09/20 08:00 https://markezine.jp/article/detail/16253

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