課題は新規顧客や休眠顧客へのアプローチ
岩切:当社がCRITEOに非常に優位性を感じているのは、パーソナライズ化できることですね。通常リターゲティング広告はユーザー動向に応じてユーザーをグループ分けし、その後はグループの属性ごとに適した広告を判断し配信していきますが、CRITEOの場合ははじめから個人を識別し配信を最適化しています。クライアントは究極、あるグループ単位ではなく一人ひとりに対してビジネスをしていますから、その効果は大きいと思います。
上野:確かに、個別ユーザーに対する配信最適化の精度は非常に高いですね。クライアントから定期的にデータを受領できる環境を整えられれば、100万人いたら100万通りの配信ができるのが、CRITEOの強みです。また、ディスプレイ広告上の画像でアピールできるので、一定の訴求力も見込めます。
――では、現在の課題は何でしょうか?
上野:課題は新規顧客や休眠顧客へのアプローチです。現状、クライアントのサイトを訪れたユーザーに対して、その後30日間のアプローチを開始するので、それ以外のユーザーには積極的に訴えかけられる仕組みになっていません。データはもちろんクライアントごとに切り離しており、流用はできないので、この部分の解決のために第三者からデータを購入するなどの策を検討しています。
両社のタッグにより、日本市場のディスプレイ広告活性化を狙う
――8月末、CRITEOへのヤフーの出資が決まり、「Yahoo! JAPAN」の主要メニューでCRITEOの広告配信がスタートしました。これは大きな弾みになるのではないですか。
上野:そうですね。当社はまだ日本で法人を立ち上げて1年ほどなので、当社の各国での実績や費用対効果を踏まえて、ヤフーとの提携が実現したことはありがたいですね。
――最後に、今回のオプトとCRITEOの連携に期待することをお聞かせください。
岩切:アドテクノロジーの進歩が著しく、できる施策は以前の何十倍にもなっているのに、クライアント社内の担当者の数は当然ですがそこまで増えてはいません。扱うパラメーターが増え、物理的に処理しきれない状態だからこそ、我々の存在価値があります。特にCRITEOの、バナーのクリエイティブまで判断して自動最適化できる点は、ユーザー一人ひとりにアプローチできるオーディエンスターゲティングの意義を大きく発揮する部分なので、これまで実現しにくかった“個々に響く効果”を得られると思っています。
上野:今、CRITEOの利用にはクライアントに商材データを用意してもらうことと、サイトへのタグの埋め込みが、早急な着手を妨げている現状があります。そうしたクライアントフォローにオプトが加わることで、ローンチに至るまでの相当な時間短縮になると考えています。実際に世界で2500社の当社クライアントのうち、継続率が96%に上るほど効果を感じていただいているシステムなので、これを機に日本市場でもディスプレイ広告の活性化に寄与できればと考えています。
岩切:上野さんのおっしゃるように、商材データを定期的にアップロードする事と、タグ埋め込みに際してページの商品情報を取得しタグに引き継ぐ設定をする事、この2点がCRITEO導入時のハードルになります。この部分の手間を軽減するために商品データフィードを最適化するサービスである 「MCP」の開発と、新たなタグ埋めを必要としないADPLANワンタグの機能を改修いたしました。ぜひ積極的に活用いただきたいです。