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「デザイン思考」の核となる「ペルソナ/シナリオ」のつくり方

ステップ3.  ワークモデル分析を行い、行動属性をクラスター化する

 ステップ3では、個々のユーザーの行動シナリオを5つのワークモデルを用いて構造的に分析します。個々の行動シナリオを分析する際に利用する5つのワークモデルとは次のようなものです。

  • フローモデル:ユーザーがタスクを終える際に必要なコミュニケーションの流れを記述するモデル。
  • シーケンシャルモデル:ユーザーがタスクを終えるまでの行動を時系列で記述するモデル。
  • アーティファクトモデル:ユーザーがタスクを終えるまでの過程で作成するアーティファクト(人工物)を記述するモデル。
  • 文化モデル:行動が行われる環境における、影響者と影響の範囲や度合いなどを記述するモデル。
  • 物理モデル:行動が行われる物理的な環境や道具を記述するモデル。

 この5つのワークモデルを用いた関係者間でのワークモデル分析セッションを行うことで、ユーザーの行動を総合的に理解していきます。デザインにおいて何を考慮しなくてはいけないか、ユーザーはどのような手順で何を用いながらインタラクションを行うのか、物理的、人間関係的な制約条件や影響はどのようなものかを考えながら、ユーザー行動を構造的に分析しながら、個々の行動シナリオから重要な行動属性を抽出し、ポストイットに書き出していきます。

 個々の行動シナリオから行動属性を抽出できたら、次はこれを共通するユーザーセグメントごとに統合していきます。その際、5つのワークモデルを用いて分析したユーザー行動の構造を失わないよう意識しながら、親和図法を用いて複数のユーザーの行動を統合していくのがコツです。

ポストイットを使って行動属性をクラスター化する

ステップ4.  行動属性群を元にペルソナを作成する

 次は、ユーザーセグメントごとにクラスター化した行動属性群を、ユーザーの基本属性と特定のコンテキストにおける利用シーンに分けて、ペルソナ基本文書とユーザー行動シナリオを描く段階です。

 まず、ペルソナ基本文書の作成ですが、この基本文書にはデザイン上の決定に関わる基本的なユーザー情報が含まれていることが求められます。ペルソナ基本文書の必要な要素には定義があるわけではありませんが、最低でも以下の要素を含む必要はあります。

  • ペルソナの名前/年齢/性別・仕事や肩書き、仕事上の役割
  • ペルソナの具体的なゴール
  • ペルソナが製品やWebサイトを使う環境
  • 製品やWebサイトの利用経験、利用状況
  • 性格/価値観

 ペルソナの個別の特徴を選ぶときには、データに基づく行動属性からどれを選んでいいか迷う場合があると思います。そういう場合は中間値的なデータを選ぶのもひとつの手ではありますが、私は印象的で意味のあるデータを選ぶことをおすすめします。そのほうがペルソナのことを覚えやすくなり、デザインを行っていく過程で常にデザインチームがペルソナのことを意識しやすくなるからです。また、中間的なデータからはデザインをする上での明確な示唆が得られないことが多々あります。ペルソナはあくまでユーザーの側から見た機能やコンテンツ、形態をよりわかりやすくビビッドにデザインするためのものです。したがって、中途半端で印象に残らないペルソナよりは、きちんと事実に基づきながらも印象に残る特徴のあるペルソナを作成するのが賢明なのです。

ペルソナ基本文書の作成例

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ステップ5.  ペルソナが目標を達成する物語をタスクごとにシナリオとして描く

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この記事の著者

棚橋 弘季(タナハシ ヒロキ)

芝浦工業大学工学部(建築学専攻)卒。マーケティング・リサーチ、Web開発等の仕事を経て2003年より株式会社ミツエーリンクスに。現在はWebを使ったマーケティングに関する企画や自社サービスの開発に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/08/27 13:00 https://markezine.jp/article/detail/1636

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