マーケティング活用視点から見たビッグデータの特徴
先に一般的なビッグデータの定義(Volume、Variety、Velocity)をあげましたが、活用を主眼に「ビッグデータ」を眺めてみると、また異なる側面が見えてきます。この本質的な理解なしでは「ビッグデータ」活用はうまくいかないでしょう。
現在、我々のチームではリクルートグループが「ビッグデータを競合優位性確保のために効果的に活用する」ためのプロジェクトを多数推進しています。
一方、プロジェクトを推進していく中で幾多の困難に直面する機会があります。数々の障害を乗り越え、実績を積み上げる中で多少なりともビッグデータの本質が見えてきたと感じています。Volume、Variety、Velocityといった耳障りのよい表層的な言葉ではなく、自分が経験した中で感じた、ビッグデータの本質を6つ紹介しましょう。
1.Fact(事実、起こった事象である)
リサーチなどでは人の記憶に頼るケースがありますが、正確な日付や時間、1円単位の金額まで事実ベースで記録されています。例えば昨日ECサイトでリップクリームを購入した時間を秒単位で記録し、比較検討した商品や購入に至った経路まで、こと細かにデータは記録しています。これはコンピュータの得意分野です。
2.リアルタイムである(=消費者の動きを即座にとらえ、即座に対策が打てる)
アイスクリームのクーポンをインターネット上で販売したら、そのクーポンがどれだけ見られていて、そのうちどの位購入されているか、即時に知ることができます。想定よりも売れ行きが悪ければ広告投下量を増やしたり、エリアによって売れ行きが異なれば在庫の最適な配分をすることもできます。科学的に評価し、施策に反映するというサイクルが現実的になります。
3.網羅性がある(対象の出現率)
分析の母集団設計は真実を掘り下げるうえでかなり重要な要素ですが、網羅性を持って対象者を抽出することが可能です。時にはリサーチではカバーできないような出現も追うことができます。例えば今週の金曜日の夜に合コン用に銀座のイタリアンを予約した人を探すこともできます。
4.ダイレクト(対象を特定できる、データの入口=施策出口となりうる)
特定の事象に、実際に何らかのアプローチができます。例えばリップクリームを買った人には同じブランドのネイルケア商品を、イタリアンを予約した人には週末に彼女と行くディズニーランドのチケットを案内することもできます。
5.多種多様なデータと紐づけられる
自社で抱えるさまざまな行動履歴のほか、国勢調査のようなセンサスデータや気象データなどや、フェイスブックやツイッターなどのソーシャル上のデータまで紐づけることも可能です。それによって多角的かつ深い顧客理解が可能となってきます。
6.収集から施策実行までを自動化できる
データ分析という業務は労働集約的な点が多分にあります。1案件ごとに工数を割いていると成果とコストが見合わなくなってしまうことも珍しくありません。そこで必要となるのがITの力です。データ量の増大=それを処理・運用する人の工数やシステムコストの増大でもあります。
つまり、パフォーマンスをあげるためにはフレーム化・仕組み化が必要です。仕組み化することで、分析→テストマーケティング→収集・計測→改善という流れができ、1つの施策として完成度の高い内容を実装していくこともできます。