データサイエンティストは“企業と消費者のハブ”
では、企業はビッグデータをどのように活用すればいいのでしょうか。企業がデータを活用するという話を聞くと、自分の情報が活用されることに嫌悪感を抱く方も少なからずいると思います。しかし、消費者に快適さを提供する正しいデータ活用を推進するのは、我々分析者の重要な役割の1つです。
マーケティングの本来あるべき姿は、消費者と企業が対等に対話する世界ではないかと思います。そしてそのコミュニケーションはビッグデータを活用することにより、可能になります。
企業はさまざまなアプローチで消費者に語りかけ、消費者は行動でそれに答えます。企業活動に対する答えも消費者のニーズも、ビッグデータの中に潜んでいるのです。消費者の声をただ単に表層的にとらえているだけでは、真に消費者に受け入れられる商品・サービスが産まれることはないでしょう。
そして、ビッグデータの中から真実を掘り当てるのはデータサイエンティストの仕事です。
消費者に「うっとおしさ」を与える施策は企業の発展を妨げます。また、俯瞰的な立場ではなく、個別の事業部の中にいるため感じとれない消費者意識もあるでしょう。
私たちデータサイエンティストは企業と消費者の間でコミュニケーションのハブとなるべき存在であると認識しています。
ビッグデータを競合優位性確保のために効果的に活用するには、それぞれの特性に合わせた活用が求められます。私たちビッグデータグループは2012年度上半期で100を超える情報活用プロジェクトを推進し、試算では十億を超える効果(売上増、コスト削減など)を上げ、現在もリクルートのさまざまな事業に対して横断的に分析プロジェクトを実施しています。
扱うデータも、事業の営業実績、Webログ、自然言語に該当するようなテキストデータ、ソーシャルデータ、その他外部データなど多種多様で日々奮闘していますが、毎日が発見の連続です。
今回の記事では、バズワード化するビッグデータを私の経験を元に整理しました。次回以降は、データ活用の初心者からプロフェッショナルな方まで幅広い方を対象とし、ノウハウや自社事例を共有していく予定です。次の記事では、データ分析を実践されている方には当然と思われるかもしれませんが、共感することも多いであろうデータの可視化について紹介します。
最後になりましたが、ビッグデータ活用にかかわる人間として、ビッグデータをバズワードで終わらせないために我々の事例やノウハウ、苦労話が少しでも役立てば大変嬉しく思います。次回以降もご期待ください!