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「サントリーのデジタルコミュニケーションの未来に責任を持つ」─ サントリーホールディングス 坂井康文氏


事業部門へのIT活用推進とガバナンスのバランスが大事

  青葉 ――2009年、創業110周年の節目にホールディングス化され、グループ経営と事業執行が分離しました。坂井さんの統括するデジタルコミュニケーション開発部は、ホールディングスに属する広報部の中にありますが、主にどのような役割を担われているのでしょうか?

 私たちはコーポレート側のスタッフとして、社のホームページや公式ブログ、FacebookなどのSNS、メルマガ配信といったデジタル施策を担当すると共に、各商品ブランドのWeb施策のサポートをしています。

 ブランドサイトの運営は、各事業部が責任を持って運営をしていますが、そうはいってもデジタルの世界は、新しいことがどんどんおきていますので、それらについては適宜相談にのるようにしています。ですので、割と密にコミュニケーションを取っていますね。組織は分かれてはいますが、例えば広報部と宣伝部は同じフロアにいますので、ちょっと聞きたいんだけどとか、あれどうなったとか、常に話はしていますよ。

 青葉 ――縦軸の事業体に、全社的なデジタルの専門家としてデジタルコミュニケーション開発部が横串を通しているような印象ですね。

 そうですね。専門家と認識されているといいんですが(笑)。各事業部のマーケティング担当者はもちろんデジタルの専門家ではないですし、ソーシャルメディアを中心にわれわれの得たノウハウを現場で活用してもらうことが非常に重要だと思いますので、彼らをサポートするのは私たちの大切な役目だと思います。各事業部を縦軸に、我々デジタルコミュニケーション開発部が横串を通して「全社最適」を目指していく、という意識を持っておりまして、この縦横の織り目がしっかりしてこそ、組織として強くなると考えています。

 具体的な施策として、例えば5~6年ほど前から年に2回、ホームページに関わる担当者を集めた勉強会をしています。ホームページ運営に関するルールに加えて最近流行のトピックや社内の成功事例、あるいはFacebookの運営などこちらで先んじて蓄積した施策を紹介したりして、ITのマーケティング活用推進のための啓発活動を行っています。

 この勉強会を通じて、各部門の担当者と相談できる関係を作ることも大切です。やはり人と人が仕事しているわけで、ルールを決めて終わりではなく、普段からコミュニケーションを図っておくことがサイトの品質向上にも関わってくると実感しています。そういった活動を通じて、ルールを守ってもらうことでリスクを低減し、活用推進の面でもサポートできれば良い関係が築けていけると思います。やっぱりルールを守ってもらうというガバナンスと前向きに活用推進してもらおうという2つのバランスが大事ですね。

 今はさらに、コーポレートメルマガや、会員サイト「サントリータウン」の会員数を増やすなど、事業部門が共通して使えるようなマーケティングプラットフォームの構築を意識しています。

 青葉 ――今もってデジタル分野の進歩は非常に速いですが、デジタルコミュニケーション開発部としての課題はおありでしょうか?

 技術革新だけでなく、デジタル領域の戦線拡大が著しいので、その分どこに経営資源をかけるべきかの絞り込みが重要になると思います。それを考えると私の立場は、皆に細かいバトンを渡しながらも「今はここまでにしておこうよ」とブレーキをかけるような役割も大事だと思い始めています。

 例えば08年頃にサントリー公式ブログを始めましたが、当時はお客様との直接の接点ができたことがとても画期的だったのに、今やSNSをはじめとしたソーシャルメディアの種類も膨大になって、あれもこれも着手しなくては、という気持ちにもなります。しかし経営資源は限られていますから、やはり全社的な戦略と施策の効果を照らし合わせて、優先順位を見極めて取り組む必要があると思っています。

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サントリーのデジタルコミュニケーションの未来に責任を持つという使命がある

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この記事の著者

青葉 哲郎(アオバ テツオ)

サイコス株式会社 代表取締役
東京都出身。明治大学政治経済学部卒業。1994年4月 ジャスコ (現イオン)入社。1995年マイクロソフト入社。トップセールスを経て、最年少ブランドマネージャに就任。MSN事業開発など担当。2001年インテリジェンス入社。マーケティング部を設立し『はたらくを楽しもう。』で同社を転職ブランド1位に。2008年リクルートエージェント入社。『転職に人間力を。』で新ブランドを立ち上げ、コスト減と広告効果の最適化...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/04/18 12:30 https://markezine.jp/article/detail/16490

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