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統括編集長インタビュー

[横山×田島対談]データもツールもつながる、御社の組織はつながってますか? ビッグデータ時代の最適なマーケティング環境とは


事業主側は、企画を昇華できる「真のパートナー」を求めている

――事業主側の立場としては、どうあってほしいですか?

田島:広告代理店さんがオペレーションを担うまで深く入っていただくのが難しいのであれば、事業主と同レベルで事業目標や課題を理解いただいた上で、他社の具体的事例をより深く、数多く教えていただけるとありがたいです。事業主は、自社内の情報やデータのみに基づいて考えを深めていくので、視野を広げたり新しい視点を集めていただけると嬉しいですね。

 いちばんお伝えしたいのは、考えを昇華できる「真のパートナーになっていただきたい」ということです。こちらが事業目標を達するために必死に考えているのと同じ視点に立って、ディスカッションさせていただきたい。すると自然に、事業主が扱っているデータにも意識が向くと思います。たとえオペレーションは担われなくとも、どういうデータに事業主が対峙しているのかには意識が向くものではないでしょうか。以前から同じくらい求められていたことだと思うんですが、コミットメント度合いがより明確になってきたのだと思います。

横山:いわゆる代理店じゃない競合も増えてきていますからね。たとえば、大手ITベンダーも競合になってくるでしょう。2011年のAdAge「Interactive agency rankings」に、IBMのテクノロジー・エージェンシー部門がランクインしていました。IBMのエージェンシーはほかにあるのに、その部門の売上が競合しているからでしょうね。

田島:そうなると、デジタルを別物ととらえていらっしゃる方々は難しいですよね。

横山:スペシャリストがインターフェースしないと、意味がなくなってきています。企業のマーケティング部門が素人じゃ成立しなくなっていますから、代理店のワンストップ体制は早くやめたほうがいいんじゃないかな。やることが増えて、それぞれの専門性が高くなった今、広告代理店の営業は、「あなたは何をする人?」と問われている。

 代理店が古くから続けている、大人数で広告主を訪問するスタイルは、メディアでお金をいただいているから成り立つサービスです。僕らコンサルは、訪問するだけでお金いただかなきゃいけない。本当は彼らも同じなんです。メディアでなく、自分が提供する価値でお金をいただくという意識を持たないと。そういった意識のままでは、代理店も広告主も、どちらも知見がたまらないでしょうし。

田島:以前、Webとソーシャルの知見を共有するために、データ分析を代理店さんにやっていただいたことがあります。自社でやれば1~2週間のところ、1ヵ月くらいかかってしまいました。ある程度仮説を持って分析しないと、データの蟻地獄に陥りますよね。その発想が持ちにくいのは、普段から実際にWebやソーシャルを体感し、そのデータ分析を行っていないからなのかもしれません。

横山:アドテクノロジーのDSPでも、入札系はクライアントさんが中でオペレーションしたほうがいいと思います。枠モノを代理店に任せると、1週間に2~3回レポートを持ってきてもらって、「結果こうなりました」と言われても、どうしようもない。日々のオペレーションが命ですから。

 目の前のモニタを一緒に見ながら、「今、こういう入札したんですけど、こうなんですよ。こういうときはもっと価格上げて取りにいきましょうか」といったやりとりをしないと意味がないし、代理店にも広告主にも何の知見もたまらない。

 一方で、大きい企業さんは、事業部間で入札をかけて価格を上げてしまう場合もあります。それを防ぐためにも、組織は横串にするべきです。事業部別のプロダクト・マネージャー制にして競争させるというのは、有効な面も確かにあります。でも、ことデジタルな世界ではマイナスに働くことも多い。デジタル・マーケティングにこそ、CMO的な機能が必要だと思います。

――課題はいろいろ出ましたが、今回はここで時間切れです。ありがとうございました!

[編集後記]
今回の対談は、まだそれほど前例がない統合ブランドコミュニケーションについて、広告主、代理店、クリエイターがそれぞれどのような役割を果たすことで成功に導けるのかを探るため、企画・実施しました。実際にキャンペーンに取り組む田島さんがお持ちの課題に対して、代理店での勤務経験もお持ちの横山さんが丁寧に解説する流れで進んでいきました。歯に衣着せぬ物言いのお2人の会話は刺激的であり、私自身大変勉強になりました。
私が特に印象に残った点は「Webを起点としたブランドコミュニケーションを実施する際、事業主側がプロデューサーにならざるをえないかなとは思っています」という田島さんの発言です。こうした状況が進むと予想される中で、エージェンシーサイドはどのような役割を担う存在になっていくのでしょうか。本記事がこうした課題と向き合うきっかけになれば幸いです。(MarkeZine編集長 押久保剛)
横山隆治さんの最新刊(共著)『ビッグデータ時代の新マーケティング思考』

[目次]
1. ビッグデータの時代
2.ターゲットの再定義
3. ビッグデータ時代のマーケティング・コミュニケーション
4. 未来の顧客を発見する
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横山さんは2、4章を担当。「想定するターゲティング」から「実証するターゲティング」へ。まさに「ビッグデータ時代の新マーケティング思考」を根本的なところからきちっと定義してくださってます。⇒Amazonで購入するならこちら

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/12/06 16:40 https://markezine.jp/article/detail/16743

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