これまでの取り組みは通用しない、従来からの脱却
「これまでの勝ちパターンは通じないだろう。従来のマガシークから脱却しなければならない」。口を揃える大森氏と石川氏。
Webサイトの刷新は改革の1つにすぎない。従来のマガシークのイメージから刷新を図ろうとする「リブランディング」の取り組みは、着実に進んでいる。
その1つが11年末から始めたテレビ広告。マガシークはWeb広告と雑誌広告が中心で、多くのEC企業もテレビを使った販促にはあまり手を付けていない。費用対効果が数字で把握できるWebとは異なり、テレビ広告は直接効果が見えにくいためだ。
マガシークはマス広告を使って認知度を広げた「ZOZOTOWN」運営のスタートトゥデイと同様、認知度の向上を狙って、マス広告に打って出た。
そもそも認知度が低いと実感したのは、同社が通販サイトの認知度調査を実施した際、「ZOZOTOWN」を知っていた人が60%を超えていたのに対し、「MAGASEEK」は6%強にとどまったこと。
テレビ広告は夏・冬のセール期に主要都市圏で実施し、PR・広報強化と併せて情報発信を増強。定期的な来訪を促進する企画などWebマーケティングの強化などを並行して行った。12年1月のCM放送地区(関東・関西エリア)の認知度は7.1%だったが、夏のCM放送後の8月は、12.7%まで上昇。13年3月期中に15%まで引き上げる計画だ。
一方で、「反響は良かったが、CRM周りの施策にまで手が及ばなかったのが反省点」(石川氏)。訪問者の増加に対して、購入率の推移が思わしくなかったためだ。マス広告で多くの消費者にアプローチし、認知度の向上を図るマーケティングの狙いは一定の成果を得たものの、新規来訪者数の伸長に対し、商品購入に至る割合が伸び悩んだ。
「とくにマーチャンダイジング(MD)の重要性を実感した。マス広告やWebを含むマーケティング活動とMDを両輪でバランスよく回していくことが必要」(石川氏)と改めて今後の注力すべきポイントが見えたという。 。
初のマス広告、敢えてキャンペーンは打ち出さない
マガシークがマス広告として初めて打ったテレビCMは、「ZOZOTOWN」がキャンペーンセールを大々的に打ち出したのとは反対に、「柔らかさや温もり、人肌を感じさせる優しい表現・世界観を描いた」(大森氏)という。
全面的にセールを打ち出すのではなく、敢えてイメージブランディングを狙った内容に仕上げた。「MAGASEEKを利用してほっこりしたり、気分が上がったりそんな気持ちを持ってもらうことが当社の存在理由になる」(大森氏)と考えているためだ。
マス広告を展開した後に課題として上がったMD。マガシークは30~40歳代女性向けの商品強化に加え、メンズのブランド数拡大と30歳以上にもターゲットを拡大するといった戦略を立てている。「仕事帰りの女性がウィンドウショッピングをするような感覚で利用して欲しい」(石川氏)。写真データを羅列するように配置したサイト刷新と、一人ひとりに合った商品がおすすめされるテクノロジーが商品陳列の根幹を支えるとみている。
こうした施策を通じ、マス広告などで訪問した消費者に「なんとなく買いたくなるサイト」(大森氏)と感じてもらえるようにしたいという。
