テクノロジー活用を語る前に何を実現したいのかはっきりさせる
—— ソーシャルリスニングなどマーケティングにテクノロジーを活用する動きが進んでおりますが、御社の取り組みはいかがでしょうか?

コミュニティ内のユーザー数が少ない、またユーザー数が多くても、発言→交流というアクションが増加していないとマーケティング目的での活用は難しいと考えております。現在、私たちは各ソーシャルメディア上で約20万人強の方々との接点があると認識しておりますが、まだまだ数が少ない印象です。そのため、現段階でマーケティング活動にそれらの情報を活かしていくのはリスクが高すぎます。なぜなら、本当は求められていないことを、求められていると勘違してしまう恐れがあるからです。
テクノロジーの活用を語る前に、まずソーシャルメディアで何を実現したいのかを徹底的に考えぬくことの方がはるかに重要ではないでしょうか。
私たちの場合は、子供からシニアまで生涯を通じてキリンブランドを好きになっていただきたい。そのために色々なサービスを利用していただき、コミュニケーションをはかりながらそのような気分を醸成していきます。ブランドを好きになっていただければ、ブランド想起が高まり、意識や態度変容が起こり、購買意向も高まる、といった流れが作れると思います。ソーシャルメディアはそのための1つのトリガーとしてとらえています。
そういった目的を達成するために、ソーシャルメディアごとにエンゲージメント率、ユーザー数などを計測し、効果を検証していきます。数がどの程度集まってその中からどれだけ反応したのかが重要であり、質と量の掛け算で考える必要があると考えています。
また、数字でクリアに効果が測れますが決して数字だけで評価すべきではないと思っています。お客さまのニーズを見ながら、どれだけその期待に応えることができたのかを評価することが大切です。一人でも多くのお客さまとつながり、話題にしていただくことを地道に積み重ねていくことで、お客様のニーズを発見することにつなげることができれば、他社に真似できない商品やサービスの提供ができるのでは、と考えております。
—— 現在でもかなり多くの情報拡散、送客などが見受けられます。これからもこのスタイルで情報を提供されていくのでしょうか?
今後のソーシャルメディア内でのコミュニケーションについては、検討を重ねている状況です。
当初は投稿エントリーが集まらないのではないかという危惧がありましたが、蓋を開けてみると有難いことに集まりすぎて情報の交通整理が大変な状況です。
国内ビールブランドのほかにもハイネケン、バドワイザー、キリンシティなど関係会社からも、多様な情報を発信しております。ユーザーが集まり賑わってくると、社内から多くの投稿依頼が届きますができる限り掲載していますが、集まりすぎると投稿のタイミングなどが難しくなることも確かです。
ただ、お客さまから見るとキリンがさまざまな商品・サービスを持っていることがわかると思いますので、できる限りさまざまな情報をこれからも届けていきたいと考えております。


—— 今後はどのような展開を検討されているのでしょうか? 米国では動画コンテンツを活かした取り組みが見られます。
まずはライブ配信系の取り組みにチャレンジしたいと思っております。体験型プロモーションとして2012年度は、0次会スタンド(のどごし<生>)やグリーンラベルカフェ(淡麗グリーンラベル)、フローズンカフェ(一番搾り)など飲用体験できるリアル接点を設けました。これらのようなリアルイベントに、来期以降はソーシャルメディア連携を検討していきたいと考えております。
リアル×ソーシャルの施策として、その瞬間に話題を拡散させるようなライブ配信系の取り組みをやっていきたいですね。 今年もダブルスクリーン時代に適したキャンペーンとして「カンパイゴール!キャンペーン」を実施したいと思っております。前回、評判も反応も非常に良かったキャンペーンです。近々、実施予定ですのでお楽しみに!
