家電需要でピーク時の売上高は1700億円超
エコポイント需要、地上デジタル放送の完全移行による薄型テレビの特需を受け、10年12月期の売上高は1759億円まで拡大。需要増の反動を受けた11年12月期の売上高は1531億円で、売上構成比は紙媒体が約43%、ネットは約30%、テレビは約21%、ラジオが約3%。ネット利用者の増加にともなうネット経由が増えているほか、BSやCS放送などテレビの多チャンネル化が進んでいるため放送量が拡大。テレビ経由の比率も上がっているという。
ジャパネットたかたの過去最高売上高となった10年12月期は、エコポイントと地上デジタル放送への移行による薄型テレビ需要の影響が大きい。同期の経常利益も過去最高の136億円を計上したが、翌年の11年12月期は74億円となった。
12年12月期の売上高は1170億円に落ち込んだものの、経常利益はほぼ横ばいにとどまった。前の期まで業績をけん引した薄型テレビは価格が急激に下落。他の家電商材もコモディティ化し、薄利多売になっていた。そのため、ジャパネットたかたの収益力も悪化していたのだ。
家電を巡っては価格競争が激化するなど明るい材料がない。ジャパネットたかたは白物などの取り扱いを増やし、家電依存型から脱却。売上高は前の期と比べて約350億円も低下したものの、経常利益を前の期と同レベルに維持できるほど、収益力は回復を遂げた。
バイヤーを増強、脱家電を急ぐ
「ピーク時は売上高の半分ほどがテレビだった」(同)というジャパネットたかたの姿は今はもうない。白物、美容、健康家電などの展開を増やし、家電通販企業というイメージも消えかけている。
そのけん引役は高田副社長が進めたバイヤー増員による商品の多角化だろう。売上高のピーク時に設置していたバイヤーの人数は約10人だったが、「今は20人くらいのバイヤーがいる」(同)。
従前は家電以外のバイヤーが少なかったが、現在は「家電」「食品」「アパレル」「健康美容」「ライフホビー」など8つのバイヤーチームで商品を開拓。カテゴリー商材ごとに販売計画などの戦略を立て、多様なメディアで販売する。「ネットで売れたら、テレビやラジオも展開する」(同)といった販売方法だ。
また、メディアミックスは拡販目的での利用とともに、在庫に応じた販売を行う際にも有効的だ。例えば1つの商品で5万台を用意。テレビと紙媒体で販売したところ残りが1000台に。ラジオショッピングで売ったところ残り4台になった。「残りはネットで展開しよう」(同)と、最大の効果が発揮できるようにメディアミックスを利用する。
ただ、売れるか売れないか分からない商品もあるのが事実。そうしたケースにおいては、「地上波で放映する前に、CS放送の自社チャンネルやネットでまずは展開する」(同)という。自社チャンネルなどで売れた商材は地上波など視聴者が多いメディアに切り替えて展開。リスクを下げつつ、大きな販売メディアへ機動的に移すことができる。「メディアミックス」の大きな利点だろう。
