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ソーシャルメディアで変わるこれからのコンタクトセンター【テクマトリックス CRM FORUM 2013レポート】

CRMシステム検討の盲点

 次にテクマトリックス株式会社 CRMソリューション営業部 CRM営業第1課 課長 押尾 力裕氏による「顧客接点ビジネスを支える新時代のCRM」を紹介する。押尾氏はテクマトリックスで16年以上もCRMシステムに関わり200社以上のシステム導入に携わった経験を基に、CRMシステム導入の盲点と今後のCRMシステムに求められる機能について講演した。

テクマトリックス株式会社 CRMソリューション営業部
CRM営業第1課 課長 押尾 力裕氏
テクマトリックス株式会社 CRMソリューション営業部 CRM営業第1課 課長 押尾 力裕氏

 CRMシステム導入の目的としてよくあげられるものとして、「効率化」と「顧客満足度の向上」がある。押尾氏は多数の顧客企業と話す中で出会った、この目標を達成するための注意すべき考え方を示してひとつひとつを検証した。

 まず一つ目に「業務をシステムに合わせる」ことについて、効率化されてもそれで何かを犠牲にしていないかが問題となる。システムに制限された応対によって顧客満足度が低下したり、機能を削ったことで必要な情報を管理できなくなって余計なツールが多くなったりする。押尾氏は、「会社にこれを使えと言われているが、このツールではできないので自分でAccessのデータベースを作った」という例を挙げ、「システムに業務を合わせるのではなく、顧客対応に必要とする機能を見極めた上で効率化を図るべき」と話す。

 二つ目の「シンプル・イズ・ザ・ベスト」とは、入力項目をできるだけ少なくして時間短縮につなげようとか、使いこなせないから最低限の機能でいい、というものだ。しかし、入力スピードを求めてシンプルな画面、シンプルな機能と絞っていくと、情報量が圧倒的に少なくなってしまう。

 とりあえず問い合わせを受けた、という証拠のためにやっていると思われても仕方ない状態だ。当然データの活用もできない。対応スピードを上げて効率化やコスト削減につなげるのは正しい考えだが、情報量や機能を落とさないで実現することが大事。「これをやったがために現場が困っていますというお客様からの声を聞いた」(押尾氏)

 三つ目の「コンタクトセンターだけで閉じたシステム」は、CRMシステムを導入して対応をよくして顧客満足度も向上させたが、他部門へのフィードバックはしなくてもよい、どうせ見ないだろうし、という考え方。これでは、顧客満足度が上がったといっても、情報共有ができないので、ほかのお客様との接点ポイントで満足度が向上したのかどうかわからない。そのために一部だけの対応向上でとどまってしまうという。

 それと相反するのが、四つ目の「無理矢理全社CRM」だ。顧客の声を一元管理して分析しましょうということだが、注意すべきは「全社で同一のシステム」というところだ。押尾氏は「きめ細かい応対が求められるコンタクトセンターにおいて全社利用するシステムで対応するというのはかなりの機能不足に陥る」と断言し、全社導入するツールがあるのでそこにコンタクトセンター機能をつけて顧客センターで利用することになったという例を紹介した。この事例では、機能不足でオペレーターのスキルに頼ってしまう状況が出てくるなど、結果としてコンタクトセンターでの満足度が下がってしまった。

 最後の「基本中の基本のFAQだけ公開」は、「お客様はすごく使いやすいんじゃないですか? 読みやすいし」ということなのだが、現在のお客様の基本的考えは「問題解決はネットで検索ありき」だ。押尾氏も「なにか困ることがあってもコンタクトセンターには電話せず、まずはネットで検索する」と話す。ここで問題なのが、「ネットで解決できなかったら電話してもらえばいい」という考えだ。

 Webに出ている情報は企業が出しているものだけではなく、ユーザーが勝手に話している情報があり、誤った情報で自己解決されてしまう可能性があるのだ。誤った情報で自己解決されないために、きめ細かい情報提供が非常に重要なのだ。

CRMシステムのどこを強化すべきか

 押尾氏はこうした問題への対応として有効な、いくつかの機能や技術を紹介した。対応スピードの向上には入力支援機能の強化による迅速化が効果があるとした。テクマトリックスのFastHelpと組み合わせられるものとして、NTTデータの検索補助・全文検索システム「i-lligraサジェスト」を取り上げた。「文字を入れると次に入れる文字列を予測して表示するものだが、ほとんどタイピングなしに入力でき、文字の打ち間違いの低減や製品名などが統一できるというメリットもあり採用する企業が増えている」(押尾氏)

 高速全文検索機能や音声認識技術の活用も効率化につながるという。「Fastシリーズでは、アドバンスト・メディアの音声認識製品AmiVoiceと連携し、オペレーターの応対履歴と合わせて通話内容をテキスト化して持っている。実際のお客様の生の声を分析にかけることができるメリットがある」(押尾氏)。このほか、Twitterのつぶやきを監視して、キーワードにかかったものに対して公式アカウントからツイートする「アクティブサポート」向けには、FastHelpと連携可能なNTTデータのTwitterやブログ分析ツール「なずきのおと」を紹介した。

 押尾氏は「コンタクトセンターは顧客接点の肝であるため、専用のシステムでやった方がよい。データを全社共有できないと思われるかもしれないが、所詮はデータであり、全社共有の仕組みは別途構築するほうが、我々の顧客では満足度が高い」として、CRMシステム導入に当たっては目的をはっきりさせた上で、最新技術も踏まえて考えるべきだと締めくくった。

講演動画配信中

 テクマトリックス CRM FORUM 2013の講演動画の視聴が可能です。2013年5月31日までの限定公開となりますので、ぜひご覧ください。詳細はこちらへ

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この記事の著者

佐々木 千之(ササキカズユキ)

主夫見習い兼フリーライター/エディター

小学生のとき「ラジオの製作」のTK-80紹介記事を読み個人でコンピュータが持てる時代になったことを知る。学生時代にアルバイトがきっかけでアスキーのパソコン雑誌の編集に関わる。その後Webニュース編集部に異動してガジェットからエンタープライズシステムまでIT全般手当...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2013/03/21 19:28 https://markezine.jp/article/detail/17362

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