制作管理業務の4割をUnityが効率化してくれる
続いて、プロジェクトマネジメントとトレーサビリティ、そして制作体制のどの部分でUnityはどこで有効なのかについて話は進む。
制作管理業務の9割は、制作物が実現したい所定の概念(コンセプト)に対して成果物をはめ込んでいき、全体のバランスを保つ作業。標準的なプロジェクトでは、プロジェクトマネージャーの作業時間の6割はコミュニケーションが占める。これは、うまくいっている仕事もうまくいっていない仕事でも同じであり、極端にコミュニケーションが多い/少ない場合は自分の仕事を検証したほうがいいと山本氏は言う。

そして、Unityは残りの4割の部分の効率を圧倒的に上げてくれるという。Unityによって、フレームワークやエンジンが共通化され、制作者どうしが制作イメージを共有することが可能になる。共通化されたコーディングや仕様についての考え方、出来上がりについてのイメージ。ここが、現在のUnityの普及を支えているポイントのひとつと言えそうだ。
インタラクティブな3Dコンテンツの開発プラットフォーム「Unity」の登録開発者は130万以上、開発者の月間アクティブ数は30万を超える。iPhone / iPod Touch / iPad、Mac、PC、ウェブ、Wii、Wii U、Xbox 360、PlayStation 3、Androidなど、幅広いプラットフォームに対応。Game Developer誌が2012年5月号で発表した、モバイルとソーシャル開発者に対する調査では、53.1%の開発者がモバイルゲームエンジンとしてUnityを使っていると回答している。2012年の6月に最新版「Unity 4」が発表された。
ゲーム制作のプロジェクト管理で重要な「トレーサビリティ」
実際のプロジェクト管理では、機能別、概念別のトレース用チャートをつくり、進捗や環境を評価する。たとえば、以下のような図だ。一番上に制作チームを置き、下に向かってアクティビティ(実際の作業)、作業内容の定義、一連の作業によって実現したいファンクション、一番下に具体的なファンクションを示す。

こうしたトレース別チャートがあると、どこが燃えているのかを追いやすくなる。トレーサブルな制作状況の把握をやっていないと、当初の目的からずれたファンクションができてしまったり、当初思っていたよりも多くの素材をつくってしまったりする。
プロジェクト管理ツール「Redmine」などのログを自動解析して、どこにどういう指令が行われ、その結果どういうアウトプットが行われ、最終的な製品に書き込まれていったかをフェーズごとに検証するとボトルネック診断ができる。ある程度込み入ったものをつくろうとすると、ボトルネック診断なしに効率を上げることはできないという壁にぶち当たると山本氏は言う。
プロジェクト遅延確認の基本として、樹形図のどこにストレスがかかってボトルネックとなっているのか診断し、そこに時間のあるスタッフを投入したり、外注業者に依頼するための予算を増やすなどの対策をしていくことになる。