トリップアドバイザーが可能にする「深いターゲティング」
シンディ・タン氏は、APAC(アジア太平洋地域)のディスプレイ広告のセールスのトップ。サイトへのトラフィックで、アジア3位の規模を誇る日本で、トリップアドバイザーは、4か月前にディスプレイ広告ビジネスを本格展開した。
「トリップアドバイザーを通じて、インバウンド、日本の外からやってくる人たちにターゲットし、関心をもってもらうことができます。たとえば、アメリカから日本に行こうとしている人たちだけでなく、さらに細かく沖縄や大阪の情報を見ている人たちをターゲティングすることが可能です」(シンディ・タン氏)
現在、トリップアドバイザーは、グローバルに6600万人のユニークユーザーがおり(2013年3月、comScore調べ)、そのユーザーをベースにさまざまなターゲティングが可能。日本からヨーロッパに行く人をターゲットするだけではなく、そこにユーザーの行動、たとえば「ラグジュアリー」「ファミリー」といった切り口で旅行情報を探している人たちをターゲットすることができるのだ。
トリップアドバイザーの広告主について企業名は明かさなかったが、旅行カテゴリの「ホテル」「観光地」「政府観光局」そして「航空会社」などが主な顧客である。さらに、旅行ができる経済力を持ったユーザーが利用しているとの認識から、そこにターゲティングしたい広告主もいる。たとえば、「ファイナンス」「ラグジュアリーグッズ」「コンシューマーパッケージ」などだ。
ダブルクリック社からは、「トリップアドバイザーは、世界で一番ターゲティングが進んでいるサイト」と評価されているという。しかし、同社はアドテクノロジーによって、さらにディスプレイ広告を進化させようとしている。
テクノロジーを駆使した、トリップアドバイザーの2つの広告商品
シンディ・タン氏は、「テクノロジーについては非常に力を入れていますし、広告主の期待にこたえるために、どんどん新しいことを取り入れています」と語る。
その取り組みのひとつ、「Delayed Ad Call(段階的アドコール)」は、実際にディスプレイ上に広告が表示されたときにのみ広告料金が発生するというもの。ページの下部に広告がレイアウトされている場合、スクロールによってその広告スペースがビューアブルになるとただちに広告が配信されるようになっている。
また、5月には新たに「Dynamic Ad」をローンチした。これは、コンテクスチュアルで関連性の高い広告を表示可能にするもの。たとえば航空会社がある地域全体にターゲットするのではなく、ある飛行ルートにだけターゲットしたいという場合に有効な広告商品である。トリップアドバイザーは、利用者のIPアドレス、ユーザー行動を掛け合わせることによってこれを実現している。
「ユーザーを追い掛け回すリターゲティング広告はとても効果的ではありますが、行き過ぎると利用者を疲弊させ、ネガティブにしてしまう。Dynamic Adは、関連性の高い情報を的確に表示することによって、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、広告効果も高めることができるのです」(シンディ・タン氏)
旅と親和性の高いモバイルへの対応
旅行とモバイルは非常に親和性が高い。トリップアドバイザーもモバイルを重視し、すでに2つのアプリを提供している。ひとつは、モバイル環境に最適化されたトリップアドバイザー閲覧用アプリ「TripAdvisor」。
もうひとつは各都市のシティガイドアプリだ。世界80都市のシティガイドを提供しており、ダウンロードしておけば、必要なときにいつでも情報を参照できる(シティガイドの日本語版はまだ提供されていない)。モバイルにおける広告機会を提供するため、5月にモバイルディスプレイ広告をローンチ。モバイルでも「Delayed Ad Call」を適用するという徹底ぶりだ。
