最近は以前に増して、ウェブサイトをグローバル化して海外に打って出たいという声をよく聞くようになりました。世界の検索エンジンシェアはGoogleが9割以上を占めていますが、国によっては、Google以外の検索エンジンがトップシェアを獲得していることがあります。
今回は後者に当てはまる、ロシアの主要検索エンジン「Yandex」の対策についてまとめます。2011年、ロシアではオンライン広告市場が紙媒体の広告市場を追い抜きました。2010年と比較すると、オンライン広告市場は実に55%も成長しています。
ロシアの検索傾向
Yandexはロシア最大の検索エンジンで60%のシェアを持っており、ウクライナ、カザフスタン、トルコ、ポーランド等でも利用されています。Googleは25%のシェアで第2位です。両者を比較すると、以下の特徴があるようです。
- ネット・IT等の専門情報……Google、Yandexで検索
- ショッピング、化粧品、エンターテインメント、映画等の情報……Yandexが利用されることが多い
Googleのシェアは、ネットリテラシーが高い人たちによるものかもしれません。消費者向けの商材を販売する場合は、よりYandexに重きをおいた対策が必要だと考えられます。
Yandex対策の基本
Yandex対策をするにあたって、Google対策の知識を応用することができます。タイトルタグ、hタグ、リンク等のテクニックはYandexでも重要です。また、良コンテンツが豊富なサイトはYandexでも評価されます。
以下、Googleと比較することによってYandexのSEOにおける特徴を解説します。
Yandex TIC
Yandexにも、TIC(Thematic Index Citation)と呼ばれる、ウェブサイトを点数付けするアルゴリズムがあります。もっとも大きな違いは、GoogleのPageRankは“ページ”に対して点数がつけられますが、TICは“サイト”に対して点数がつくことです。
Yandex TIC | Google PageRank |
---|---|
0~150,000 | 0~10 |
サイトの価値を評価 | ページの価値を評価 |
1つのウェブサイトに対して1つのTICのみ |
1つのサイトに対して複数のPageRank (ページごとにPageRankは違う) |
サイト内リンクはTICに影響しない | サイト内リンクもPageRankに影響する |
TICは、Yandex Catalog(Yahoo!ビジネスエクスプレスのようなサービス)に登録すれば調べることができます。
無視できないパーソナライズドサーチ
Yandexの検索結果のうち、80%近くがパーソナライズドサーチで、ユーザーごとに違う検索順位が表示されます。検索結果だけではなく、サジェスト(検索キーワードを入力する際に表示される予測キーワード)もユーザーごとに変化します。
このため、SEO効果の測定には注意が必要です。ユーザーによってランキングが異なるので、順位だけを測定してもあまり意味がありません。当たり前ですが、キーワードや関連ワードのアクセス数も調査する必要があります。
地域対策
日本(Google)における地域対策は、その地域に関するキーワードを埋め込むなどが考えられます。しかし、これが有効なのは、日本がほぼ同一民族、同一言語だからです。
ロシア(Yandex)の場合、国土が広く、それぞれの地域ごとユーザー特性も違うため、各地域に合わせた対策が必要になります。どの言語で、どの地域をターゲットにするか、明確にして対策案を練りましょう。