SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

はじめての人にもわかる「アナリティクス」講座

【新連載】「アナリティクス」を始めよう。~変数って何? 統計のスキルがなくてもアナリティクスは可能ですか?


なぜ今アナリティクスなのか?

 なぜアナリティクスは昨今、頻繁に語られるようになったのでしょうか? 「データの分析と活用」は現代統計学が出てきた大昔からあったことで、それ自体何も新しいことではありません。なぜ、今、脚光を浴びているのでしょう? 具体例のほうが分かりやすいと思いますので、いくつか例で説明したいと思います。

ハンバーガーとレタスの話

 まずは、ハンバーガーとレタスの話です。たとえばあるハンバーガー・チェーンの会社が秋のスペシャル・バーガーを売り出す計画を立てたとします。300万個売れるだろうと考えて、数ヶ月前に300万個分のレタスの種を蒔きだします。秋に実際に200万個しかバーガーが売れなかった場合には100万個分のレタスは廃棄です。コスト面での損失です。逆に実際には400万個売れたのに、ということがわかったら100万個分の機会損失です。

 でも、もし、過去の販売実績や類似のスペシャル・バーガーでの牽引効果を分析し、今回のスペシャル・バーガーの販売数を精確に予測できたとするとどうでしょうか?400万個分のレタスを準備し、売上最大&コスト最小の収益マックス!の結果にいたるわけです。アナリティクスを正しく実施すれば会社に大きな収益をもたらし、それはアナリティクスを導入するコストを大きく上回ることがあるのです。

薄型テレビと乾電池の話

 もうひとつの例として、薄型テレビと乾電池の話をしましょう。家電量販店の広告「薄型テレビがXX円!」に誘導されて消費者が売り場に来ても、その日は買わずにレジの横に山積みになっている乾電池やケーブルを買ったりするのはよくあることです。この場合、家電量販店の収益源は薄型テレビではなくレジ横に無造作に置いてある乾電池だったりするわけです。

 「薄型テレビの価格には敏感に反応するが、乾電池にはその感覚がなくポンと買ってしまう」ということは現場の担当者であれば経験と勘で知っているかもしれませんが、それではいったい乾電池の価格を何円に設定すればもっとも収益をあげられるかを正確に予測することは難しいかと思います。過去の販売実績データ分析を分析することで、もっとも収益が期待できる最適な価格を見つけ出すことができるのです。

 これを経験や勘で部分的にやっている量販店と、アナリティクスを全売り場で徹底的にやる量販店でははっきりと差がつきます。ここでのポイントは、経験的・部分的な知見と比較してアナリティクスは知見を大規模に生産することができる知的生産の武器だ、という点です。知的生産の規模と質が勝負を分けているのです。

 一昔前まで企業の競争力は、企業規模と技術力だったと単純化してしまえるかもしれません。今日、ここにアナリティクスが新しい要素として加わった、という図式で私は理解しています。つまり企業がアナリティクスで勝負することが可能な時代になってきたのです。それを可能にするようなIT技術が身近な存在になってきたこともその流れを支え、促進しています。これが昨今、アナリティクスが注目を集めている本当の理由なのです。

次のページ
経験と勘に頼っていたことが、数式で表現できる

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
はじめての人にもわかる「アナリティクス」講座連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

津田 高治(ツダ タカハル)

USの大学院から経済学修士を取得した後、2001年よりアナリティクスを始める。流通・保険・メディア・製造など各種業界でアナリティック・コンサルティングを実施した後、SAS Institute Japanのソリューション・コンサルティング  シニア・マネージャー(現職)として日夜アナリティクスのお客様適用に研鑽を積む。趣味は料理とショッピング。

■講演
Analytics 2013 - SAS® Forum...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2015/06/18 15:52 https://markezine.jp/article/detail/17781

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング