アナリティクスの組織についておさらいしておこう
皆さんこんにちは、SAS Institute Japanの津田です。アナリティクス初心者の方を対象とした連載「はじめての人にもわかるアナリティクス講座」の第4回をお届けします。
前回は、アナリティクスに必要なロールとそのスキルについて説明しました。今回は、そのロールをどのように組織するのか、組織論に簡単に触れたあと、アナリティクスの10ステップの最も華のある部分、「モデリング」を語ります。
3つのロールは“三権分立”の関係
さて、アナリティクスのロールを簡単におさらいしましょう。データに精通したデータ・ロールの人が分析用データを作る、アナリストがデータ分析を行う、コンサルタントがデータ分析の知見の活用を働きかける、大きくはこの3つです。さて、組織のレベルで見ると、これらの人々はどのように連携し、機能していくのでしょうか?
まずは組織のゴールイメージです。「経営を変える」究極レベルのアナリティクスに必要な組織は以下です。
個々のアナリストは自分の得意分野に注力しつつ、全体として会社の経営や業務の課題にあまねく応えることができる体制です。これを全体として機能させるのはコンサルタント・ロールです。経営・業務の課題をよく理解してそれがアナリティクスで解決できる問題なのかを考え、YESならばそれをアナリティクスのプロジェクトに落とし込む。アナリティクスの結果として得られた知見を会社のROIに沿った形で魅力的に語る(期待値もコントロール)などです。データ・ロールの人は定型化したデータ要求はIT部に委託するなどして、ビジネスとITとのシナジーを作ります。
これら複数のロールを兼任することは、原則としてできません。コンサルタントが要求するデータ分析はしばしばアナリストにとっては得意技と異なったり、今まで経験がなかったりします。しかし、アナリストが得意だからではなく、会社として必要だからアナリティクスを実施する、という究極の段階なわけですから、コンサルタントはその点で鬼になる必要が出てきます。両者を兼任するとそこが機能しなくなります。
同様のことはアナリストとデータ・ロールの関係にも言え、アナリストは必ずしも楽でないデータ要求をする必要が出てくる場合があります。コンサルタントは要求されることがないように見えますが、組織を存続させるという最も大変なミッションを担い、そこにバランスが築かれています。
これら3つのロールは、組織の発展段階に応じて、(1)データ・ロール、(2)アナリスト、(3)コンサルタント・ロールの順に必要性が出て来て、また徐々にプロジェクトチームから独立した組織へと近づいていくという流れになります。