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MarkeZine Day 2025 Autumn

Owned Media Report~オウンドメディアマーケティング戦略の潮流

「オウンドメディアはブランドフィロソフィーを感じてもらう場」M・A・Cのオウンドメディア戦略


国によってお客様の行動特性は変わる

  ── インターナル向けにも多くのリレーションを取っていらっしゃるのですね。一般のお客様とのリレーションはどのように取られているのでしょうか。また、お客様とリレーションを築く場合、グローバルブランド特有の表現規制による難しさなど感じますか。

 お客様とも密なリレーションを築くことを重視しています。と言っても、メルマガやM・A・Cからの情報発信を頻繁に行っているわけではありません。適度なタイミングでのコミュニケーションを心がけています。グローバルブランドにありがちな、表現の統一によるコミュニケーションの難しさはスキンケアブランドと比較すると少ないです。

 その理由は、M・A・Cというブランドはファッションブランドに近い要素があるからです。「見て感じるエモ―ショナルなコミュニケーション」という点で言いますとM・A・Cは世界共通でリッチな体験を提供できています。

 ローカライズの観点から改善したいと考えている点は、Webサイトです。国によってお客様の行動パターンが異なるため、ユーザビリティやナビゲーション、エンゲージメント手法はローカライズする必要性を感じています。

 たとえば日本の場合だと、現在はユーザビリティよりもブランド演出を優先しているので、ナビゲーションに不備を感じているお客様がいらっしゃるのではと感じています。欧米の場合、ブランドを伝える手法としてイメージを重視する傾向にありますが、日本の場合は実用性や利便性をより重視する傾向が強いと感じています。

 特にEコマースで販売を向上させるためには、いかに実用的な内容を伝えるかや、チェックアウトまでのフローをシンプルにするなどがポイントです。イメージ訴求と実用性の訴求、どのバランスで折り合いをつけるのかは難しい課題ですね。

 動画のクリエイティブでも欧米と日本の違いが鮮明に表れます。欧米の動画はハウツーな内容でもムーディーなトーンで撮影してブランドイメージを伝えているのですが、日本の場合はステップごとの解説のような実用的な内容となります。こうなるとブランドの個性はなくなります。

 ファンの獲得方法にしても、どこまで日本流でやるのかは悩みどころです。FacebookもTwitterも日本の場合はCall to Actionベースが多いのですが、M・A・Cの場合はプロモーショナルなキャンペーンは一切やりませんので(笑)。キャンペーンで一挙にファン数を増やそうとするのではなく、ブランドへのロイヤリティが高いファンを着実に増やすという考え方です。

著名アーティストとコラボレーションを展開

 ──コミュニケーション上、重要視しているメディアはありますでしょうか。また、M・A・Cの強みとなっている施策がありましたら教えてください。

 M・A・Cではソーシャルメディアを重要視しています。海外の場合はM・A・Cと聞くだけでファンの心にスイッチが入るので(笑)お店にお越しいただけますし、サイトへもアクセスいただけけます。日本でもこのような状況にできればと考えており、そこで重要なのがソーシャルメディアです。ただ、ソーシャルメディアの種類、利用方法、属性が欧米と日本では異なるので、グローバル対応型ではなく日本独自のソーシャルメディア利用方法を展開しています。

 今後は、現在ジオターゲティング対応しているFacebookについてはグローバルページの中のタブで日本版を展開する予定があります。Mixiページの中でもFacebookと同じコンテンツを掲載しているのですが、接触するユーザー属性が異なることがわかっています。企業が情報発信するよりも、個人の情報発信のほうがMixiは盛り上がるのかなと感じました。

M・A・CのFacebook
M・A・CのFacebook
現在、Facebookはグローバル対応で展開中。上記のほかにもブランドを体感できるコンテンツを公開。
今後は日本ローカライズ版もタブ設定で展開予定

 Facebookのコンテンツに関しては、日本人が好むノウハウ・ティップス系のコンテンツを投稿していますが、これは日本独自です。1コンテンツで1,000~2,000程度のいいね!がつきます。

 その他にもファッションショ―のバックステージ写真やシニアアーティストと直接対話できるライブチャット、店頭イベントの参加登録などのコンテンツもあります。日本独自の施策としては@cosmeの公式アカウントがあります。

 ただ、なんといってもM・A・Cの強み・特徴は著名アーティストやデザイナー・クリエイターとのコラボレーションです。今年はリアーナとのコラボレーションを実現しました。製品の開発から本人が関わっていますので思い入れも強く、アメリカでは3時間でソールドアウトとなり、 7,000万人のファンがいるリアーナのFacebookページでも、本人が商品写真を掲載して紹介してくれました。

 他にも過去レディー・ガガとのコラボレーションなど、ワールドクラスのアーティストとのコラボレーションを実現しています。そのようなダイナミックなことができるのもグローバルブランドの強みだと思っています。こういったコラボレーションが年に何度もあります。

リアーナ コラボレーション
リアーナ コラボレーション

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ゲームアプリの展開など多様な接点を演出

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この記事の著者

松矢 順一(マツヤ ジュンイチ)

株式会社アサツーディ・ケイ クロスコミュニケーション局を経て、伊藤忠商事株式会社情報産業部門でデジタルマーケティングを担当し、株式会社ADKインタラクティブ取締役就任。その後、楽天株式会社メディア事業副事業長を経て株式会社Tube Mogul執行役員就任。著書には共著で『次世代広告コミュニケーション』『トリプルメディアマーケティング』。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/06/19 13:14 https://markezine.jp/article/detail/17835

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