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はじめての人にもわかる「アナリティクス」講座

データを用意する人、分析する人、活用を働きかける人
アナリティクスで必要な3つのロール


アナリティクスに統計学の知識は必要か

 さて、次に「統計学のスキルは必要ですか?」というご質問に対してです。やはり「必要」という答えになります。アナリティクスに対する統計学の必要性について考えるとき、わたしは時々デジタルカメラを思い浮かべます。

デジタルカメラとアナリティクス 〜ツールについての一考察〜

 いま、デジカメはとても身近な存在ですよね。携帯やスマートフォンに当たり前のように付属して皆が苦もなく使っています。でも、写真展に出せるような良い写真を撮ろうと思ったら、光学技術の基礎理論やカメラというツールに対する深い知識が欠かせません。そこまで行かなくても、旅行のスナップ写真などをキレイに取りたいというレベルには、それなりの基礎的理解やカメラのエントリーレベルの習熟で良いわけです。私のカメラ業界に対する尊敬は、ユーザーニーズに応じて必要な技術的な知識や必要なツールがよく整理されている点です。ユーザーは自分の目的に応じて必要な勉強をし、必要な道具を揃えれば良いわけです。

 この点、アナリティクスはまだまだ業界としても発展段階です。現状の統計分析のツールが想定しているユーザーは「統計学を修めた人」になっています。例えばソフトウェアのメニューや画面表示に、初心者には解読不可能な言葉が突然出てきたりします。ツールを使う人の知識レベルが高いことを前提にするやり方は過去には有効だったかもしれません。しかし、アナリティクスで広く会社や経済を活性化しようとしている今、プロ向けツールだけでは機能しないわけで、この点、業界としての努力が求められています。具体的には、統計学のノウハウをソフトウェアの中により多く埋め込んだ形にしてユーザーが必要とする知識をより少なくすることです。プロ向けツールはそれとして存在しつつも、ユーザーニーズに応じた提供も併せてすべきでしょう。

みんなが統計のプロになる必要はない

 「万人が統計学のプロになるべき」という議論もときどき見かけます。個人的な例ですが、私は統計学を何年か熱心に勉強して、ある日フッと理論が腑に落ちたという経験があります。しかし、色々な状況の中で生活している私たち全員が同じレベルの修練をしなくてはならないというのは、難易度が高すぎる想定であると感じます。やはり、デジタルカメラの例のように、ソフトウェアを提供する側がユーザーに寄り添う形で発展を目指すべきでしょう。

 ただ、将来的なあるべき姿がそうだとしても、現状のアナリティクスのソフトウェアを見るとやはり統計学の知識は大なり小なり「必要」と言わざるを得ません。「やさしいデータ分析ツール」とのキャッチフレーズのソフトウェアもありますが、残念ながら実力不足と感じます。

 アナリティクスを「始める」段階では、外部リソースの活用を含めてアナリティクスを始めていただき、データ分析ツールに慣れる過程で少しずつ統計の考え方にも慣れ親しんでいただきたいと思います。

まとめ

 以上、駆け足でアナリティクスのロールや必要となるスキルについて見てきましたが、いかがでしたか? アナリティクスは、つい自分の能力の範囲でできることをやって満足してしまいがちですが、それをいさめてくれる人はなかなかいません。皆様にはアナリティクスを「始める」だけでなく、ぜひ本当に「できる」ようになってほしいと考え、獲得すべきスキル・果たすべきロールを際立たせるような内容にしてみました。字数の関係上少々説明が十分でない部分もあるかと思いますが、私の不徳の致すところでもあります。皆様の成功を祈ってやみません。

 次回以降、今回説明したロールやスキルと組織論の関係を、アナリティクスの発展段階に応じて説明していきます。どうぞお楽しみに。

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この記事の著者

津田 高治(ツダ タカハル)

USの大学院から経済学修士を取得した後、2001年よりアナリティクスを始める。流通・保険・メディア・製造など各種業界でアナリティック・コンサルティングを実施した後、SAS Institute Japanのソリューション・コンサルティング  シニア・マネージャー(現職)として日夜アナリティクスのお客様適用に研鑽を積む。趣味は料理とショッピング。

■講演
Analytics 2013 - SAS® Forum...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2015/06/18 15:53 https://markezine.jp/article/detail/18007

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