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MarkeZine Day 2025 Retail

Owned Media Report~オウンドメディアマーケティング戦略の潮流

主語は“バーバリー”。テクノロジーは手段のひとつ
デジタルを積極活用するバーバリーの狙い

ユーザー体験をシームレスにつなぐ販売方法

 バーバリーのデジタル活用はコミュニケーション面だけではない。販売方法に関しても、テクノロジーを使って何ができるのかを追究している。その試みのひとつが「Runway Made To Order」だ。

 「Runway Made To Order」は期間限定でファッションショー終了直後にEコマースで商品予約を行うサービスで、店舗に商品が入荷される約半年前に最新コレクションアイテムが届けられるようになっている。さらに、このタイミングでの購入者には、特典として購入時に金のプレートに手作業で名前を彫って入れるパーソナライゼーションサービスも行っている。

PC/スマートフォンでのコンテンツを配信を実現
Runway Made To Orderの取り組みではECサイトでの購入が可能
店舗に商品が入荷される前にECサイトでの予約・購入が可能な仕組み
ファッションショーから1週間以内の購入者への特典のゴールドプレート。RFIDとなっており、モバイルから商品の世界観を体感することが出来る仕組み
Runway Made To Orderで購入された方への特典のゴールドプレート。
同封のRFIDタグが埋め込まれたカードを使って、モバイルからもバーバリーの世界観を体感することができる仕組み

 また、商品に同封されているRFIDタグが埋め込まれたカードを使って、指定URLにアクセスすると注文した商品のデザインスケッチ、ファッションショーでのモデル着用写真、オーダーを受けた後の作業工程など、アイテムが生まれてから手元に届くまでをスライドショーで見ることができ、クリストファー・ベイリーからメッセージが届く仕組みにもなっている。

 さらに、音楽とのコラボレーションにも積極的だ。音楽好きのクリストファー・ベイリーは、ファッションショーで使用する音楽の選曲も自身で行っていて、若手ミュージシャンをショ―のモデルや広告キャンペーンのキャストに起用しているという。

バーバリー・アコースティックに参加しているアーティストのライブとYouTubeでのアーカイブ集
2013年6月、ロンドンで開催された、2014年春夏バーバリー プローサム メンズコレクションの会場では、
ショーの前後にバーバリー・アコースティックアーティストによるライブパフォーマンスもあり、会場を盛り上げた

 一昨年前はバーバリー・アコースティックのアーティストたちとコラボレーションして、デジタルクリスマスカード用のコンテンツも作成。この試みは好評を博した。

メールを開封するとアーティストのパフォーマンスがはじまる。去年はアニメーションで展開。キャンペーンサイト

デジタルの世界をリアル店舗で再現

 このようにデジタルを積極的に活用する一方で、バーバリーはオフライン(店舗)との連携も意欲的に行っている。2012年9月に本国イギリスのリージェントストリートにオープンしたフラッグシップのコンセプトは、burberry.comでのブランド体験をリアルな3次元空間に転換することだという。

 オフラインでの店舗体験をオンラインとシームレスにつなぐ取り組みは、これまでも見受けられたが、オンラインでの体験をオフラインでも体験してもらう、つまりこれまでとは逆の発想で展開している点が新しい。オフラインとオンラインを融合した先進的な事例と言えるのではないだろうか。

 実はバーバリーは、リアル店舗に比べEコマースの品揃えが多い仕組みになっている。トレンチコートのオーダーメイドがデジタル上でできるといった取り組みも展開中で、“まずデジタル”の発想で取り組んでいる点が垣間見える。

リージェントストリートにオープンしたフラッグシップの外観
本国イギリスのリージェントストリートにフラッグシップ。
建物自体は19世紀に建てられたものでクラシカルな造り
入店すると先端デジタルの世界が広がり、
ロンドンからヨークシャーまで長いケーブルを複数繋ぐことでこのデジタル環境を実現している。
スピーカーは500個以上、LEDパネルもあらゆる箇所に設置され、
商品タグをかざすとその商品のブランドストーリーが流れる仕組みになっている。
巨大スクリーンには音楽コンテンツやファッションショーライブストリーミングなどを配信。
burberry.comの世界観を店舗でも再現している
Art of the trenchのサイト。
世界中から寄せられる個性的なスタイルを記録するクリエイティブプロジェクト。
ユーザー投稿や著名アーティストとのコラボレーションでコンテンツが構成されている。
Webサイトへの直接アップロードやiphoneアプリからのアップロードも可能な仕組みとなっている

 どのブランドよりも早く、ソーシャルメディアやライブストリーミングを展開してきたバーバリー。自分たちを主語として、次はどのようなデジタルでの取り組みをみせてくれるのか。今後の動向にも注目だ。

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この記事の著者

松矢 順一(マツヤ ジュンイチ)

株式会社アサツーディ・ケイ クロスコミュニケーション局を経て、伊藤忠商事株式会社情報産業部門でデジタルマーケティングを担当し、株式会社ADKインタラクティブ取締役就任。その後、楽天株式会社メディア事業副事業長を経て株式会社Tube Mogul執行役員就任。著書には共著で『次世代広告コミュニケーション』『トリプルメディアマーケティング』。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/08/30 08:00 https://markezine.jp/article/detail/18063

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