CPMで10倍以上を見込める広告商品が台頭
リスティング広告と比べると、コンバージョン単価(CPA)高騰のリスクが高いディスプレイ/バナー広告。ニュース/専門情報系メディアの広告商品を取り扱ったことのあるWeb広告営業の経験者なら、1度や2度は広告主からのクレームに頭を抱えたことがあるはずだ。どうすれば単価を維持できるのかと、苦慮するメディア企業関係者も多いことだろう。
アメリカでも、状況は似通っている。広告主がDSP(Demand-side platform)経由で買い付けるディスプレイ/バナー広告の1000インプレッション当たりの単価(CPM)の相場は1~3ドル程度でしかない。メディア企業の収益の柱として、ディスプレイ/バナー広告は頼りないものになってきているのだ。
その一方、CPMで10~25ドル、一部の優良な経済誌などではCPM 30~70ドルという水準で常に満稿、在庫が足りない広告商品が台頭してきている。動画広告だ。
米動画広告市場は23億ドル規模に
アメリカではここ数年、Wall Street JournalやNew York Timesなどのメディアが、こぞって記事中に動画プレーヤーを埋め込むようになった。
日本でも見慣れたテキストによる記事だけでなく、動画も使ってニュースを配信することが当たり前になってきているのだ。メディア企業のトップは、記事を書くだけでなく動画を撮影してくることも記者に要求。動画コンテンツを増やすための投資を増やしている。
実際、米Interactive Advertising Bureau(IAB)のレポートによると、「デジタルビデオ」の広告費は右肩上がりで成長中。2012年の市場規模は23億ドル(約2300億円)となった。
デジタル広告市場全体で見ると、「デジタルビデオ」の成長率は、進境著しい「モバイル」よりは確かに劣る。だが「リスティング」「ディスプレイ/バナー」「リードジェネレーション」「リッチメディア」などの広告フォーマットが伸び悩む中、「モバイル」と「デジタルビデオ」がデジタル広告市場の成長を支えている格好なのだ。
日本で動画広告市場が立ち上がるのはいつ?
「よくWeb業界では『日本ではアメリカの2年遅れで流行する』と言われていますが、動画広告だけは2年どころか5年以上遅れています。『次は動画が来る』と言われ続けて、もう10年以上は経ったでしょうか。『来る来る詐欺』状態でしたが(笑)、ようやく日本でも動画広告市場が芽吹くかもしれません。来年あたりから国内のメディア企業の中にも、動画広告を本格的に導入するところが増えてくるでしょう」と語るのは、動画配信プラットフォーム「Brightcove」を提供するブライトコーブ株式会社の橋本久茂代表取締役社長だ。
今年に入ってから、日本にも動画広告関連のテクノロジーを有するアメリカ企業が進出。「動画広告なんて日本では流行しない」という否定派が主流だった国内の広告代理店にも、「そろそろ動画広告をやらないと」といった気運が盛り上がってきているという。
実際のところ同社にも、最近になって新聞各社を中心に「動画コンテンツ/広告を配信するため、導入を検討したい」といった問い合わせが増えてきているそうだ。
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