クロージングキーノートで、会場の盛り上がりは最高潮に
アドテック九州クロージングキーノート「TVのWeb化」は、堀江貴文氏(SNS ファウンダー)と有吉昌康氏(PTP 代表取締役社長)の対話に、石黒不二代氏(ネットイヤーグループ 代表取締役社長 兼 CEO)がモデレーターとして参加する豪華な顔合わせとなった。
会場を埋め尽くした観客はパネラー2人が登場すると大きな歓声を上げた。ディスカッションを行う堀江氏と有吉氏はともに福岡出身。会場を見渡した堀江氏は、「福岡でデジタルマーケティングでこんなに人が来るなんて」と驚いた様子だ。ライブドア時代にはテレビ局の買収に意欲を見せた堀江氏。対する有吉氏は、全録レコーダーのさきがげ「SPIDER」の開発・製造・販売を手掛けるPTPを率いる人物。2人の対話に会場の期待は高まった。
テレビでもウェブと同じことができる
まず、有吉氏が「SPIDER」とは何かを紹介。SPIDERは1週間分のテレビ番組をすべて自動録画するだけでなく、商品名や出演者の発言内容などをキーワード検索し、該当シーンを頭出しして見ることができる。「どの局の、どの番組、どのコーナーで、どれくらい、どのような」露出があったのかを素早く網羅的に把握することができるため、現在400社以上が導入。法人市場ではデファクトスタンダードとなっている。
そのデータをソーシャルと組み合わせれば、テレビ露出とネットのクチコミの関係を明らかにすることもできる。今回のセッションのテーマである「TVのWeb化」というテーマを、すでに現実のものとしているプロダクトと言える。
有吉氏は「テレビのWeb化には、いつでも全コンテンツにアクセスできるようにして、検索できるようにすることが必要」と言う。ウェブ同様、どれだけ見たか、そこからどのようにアクセスしたかという広告効果が検証でき、ターゲティング広告も可能な世界を実現するには、「現在バラバラになっている各地域で放送されているテレビ番組やCMのデータベースが必要」(有吉氏)。
同じ番組でも、地域によって放映される曜日や時間は違う。ある化粧品メーカーのCMが1日にどれだけ放送されたのかは、データベースをつくってユニークなIDに紐づけて把握するしかない。有吉氏はSPIDERを使ってそのデータベースを構築し、企業に提供している。
「ウェブと同じことがテレビでもできる。ターゲティング広告、検索連動型広告、効果測定、効果に応じた分岐ができる。僕らが目指しているのは、番組やCMというコンテンツと視聴者をマッチングし、番組で露出された商品を買えるようにする。そこをつなげることで新しい価値をつくる。そして、すべてをつなげて検証可能にする。そうなれば、広告主も安心して広告をやろうと思ってくれる。テレビのイノベーションはすぐそこまで来ている」と有吉氏は述べた。