中高年、主婦……デバイス操作に慣れないユーザーへの対応が必須に
いわば、ECの利用者のボリュームゾーンがアーリー・マジョリティーからレイト・マジョリティーへと移りつつある。そのため、これまでのユーザーが難なく使ってくれていた機能も見直しを図り、できる限り迷わず簡単に目的にたどり着ける仕組みにすることが、離脱を防ぐ一番の対応策となる。
また、大手企業がこぞってそうした層に注目し、ECサイトを極力便利に使えるように改善していることも、ユーザー層の拡大に拍車をかけている。性能が低いサイト内検索エンジンの場合、在庫がないものが上位に表示されたり、少しずれたキーワードだと検索結果が「0件」になってしまったり、といったことがよく起きる。「もち(餅)」と打つと「おもちゃ」が先に出てきてしまう例もあったという。
「以前のユーザーなら、自分で検索内容を変えてトライしてくれました。でも、これからは違います。検索エンジンは、企業がユーザーに対して使いこなしてもらうツールから、ユーザーの入力した条件に基づいて企業がオファーするためのツールになりつつあります。」
検索枠へのキーワード入力は、店頭で顧客の側がほしいものを宣言しているのと同じ。それも、今ほしいという瞬間にだ。「その機会を逃すのは非常に惜しい」と山崎氏。
検索エンジンが“コンシェルジュ”になる時代
サイト内検索の重要性が増している理由のひとつに、ECで取り扱う商品のカテゴリが拡大していることも影響しているようだ。食品や日用品など、生活に身近な商品になるほど商品点数が多く、ほしい銘柄が決まっていない場合も多い。好きなアーティストの音楽作品なら検索も容易だが、例えばしょうゆを探す際にブランドまで指定するユーザーは多くない。
また、最近ECが好調なアパレルも、色やスタイルなど漠然としたイメージから商品を絞るのが一般的だ。だから、顧客一人ひとりの要望を検索エンジンが汲み取り、より親身になる必要がある。
「そういう意味では、当社では検索エンジンこそがECにおける“コンシェルジュ”になる、と考えています」と山崎氏は語る。
「そもそも店頭では、店員にほしいものを伝えて在庫がなかった場合、普通は代わりの商品を提案したり入荷日を教えてくれたりしますよね。検索結果が『0件』と表示されるだけというのは、まるで『うちにはありませんから、よそへどうぞ』と言われているようなもの。せっかくユーザーが自ら要望を入力しているのだから、その情報をフルに活用して、プラスアルファの提案ができるコンシェルジュのような挙動がECサイトにも必要な時代になっているのです。」