なぜ、「おいしい生活。」が忘れられないのか?
言ってみれば、それはスイカにふる塩のようなものだ。しょっぱさがスイカの甘みを引き立たせるように、忘れがたい文章にはレトリックが必要だ。もちろん、実用文であるコピーにだって。
レトリックとは、古来ギリシア語「レトリケ」に由来する修辞学という弁論技術である(ということは別に覚えなくてもいいデス)。要するに、効果的な言葉のテクニックである。平凡な表現を鮮やかに変身させるのだ。
先に言っておくと、レトリックはピタッとはまれば表現に輝きが出るが、外すと「意味不明」とスルーされたり、「ふつうに言え」と怒りを買ったり、「これ書いた人、バカなの?」と思われたりと散々な目に合う。諸刃の剣なのだ。
使うときは、取扱いに注意しなくてはいけない。絶妙なさじ加減が必要なのだ(失敗するときは、たいていやり過ぎていることが多い)。
もちろん、レトリックを使わなくも読まれる文章は書ける。文章作法では、美しい文章の条件として形容詞や副詞を乱用しない、言葉をゴテゴテと修飾しないことが挙げられている。Simple is beautiful.なのだ。
下手に使うと命取り、レトリックには魔物が潜んでいる。それでも「やってみなはれ」と言いたい。その理由は次の3つの<やすい>にある。
注目されやすい
レトリックにより、表現は強くなる。凡庸な言葉が「お!」「わっ!」と思わせるフレーズに変身する。流し読みが基本というWebテキストの読まれ方を考えると、キャッチフレーズであれ、ボディコピーなど長めのテキストであれ、瞬時に読み手の注意や関心をひくことは必須である。
記憶に残りやすい
ふつうに言うと忘れられてしまう表現でも、レトリックを使うことで忘れられないフレーズとなる。数々の名作コピーがそれを証明している。
隠喩のレトリックで表現された「おいしい生活。」が、暮らしが楽しくなります、豊かになります、のようなありふれた表現であったならば、ビジュアルのウッディ・アレンは記憶されても、コピーは忘却の彼方へと追いやられたであろう。
拡散されやすい
印象的で記憶に残りやすいと正確に伝播しやすい。ソーシャルメディア環境が整った現在、クチコミとなってスピーディに拡散しやすいのだ。それだけ浸透しやすいから、知覚してもらえる。
ただし、いつも好意的とは限らない。「◯◯◯のコピーが酷い」とか「ワロタwwwwww」などとこき下ろされて、スピーディに恥をさらす場合もある。
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