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Owned Media Report~オウンドメディアマーケティング戦略の潮流

「オムニチャネルの視点からデジタルの活かし方を模索」
デジタル活用を推進するサッポロビールの取り組み

5つのFacebookページ、それぞれの役割

 ── 北海道本社、東京本社のコミュニケーション戦略を伺う中で、アーンドメディアにおいては、Facebookを重要視していらっしゃる印象を受けました。自社Facebookページのほかに海外の閲覧者も増えている北海道Likersや百人ビール・ラボなども運営されています。それぞれがどのような役割を果たし、自社サイト(オウンドメディア)と連携をし、ブランド戦略や販売促進に寄与しているのでしょうか。

聞き手:松矢順一氏
聞き手:松矢順一氏

 現在5つのFacebookのアカウントを運営していますが、役割はアカウントごとに異なりますので一つひとつ説明させていただきます。

サッポロビールFacebookページ

 サッポロビールのファンの方をターゲットにエンゲージメントの高い関係を築き、自社Webの情報とコネクト(橋渡し)する役割とし、週末の「乾杯」画像の投稿でよりサッポロビールを飲んでいただくようなきっかけ作りをしております。

 また、ソーシャルログインとの連携でWebサイト会員の中でもロイヤリティの高いファンになっていただき、より情報発信力にあるアンバサダーになっていただきたいと考えています。

北海道Likers

 今はサッポロビールに興味がなくても、北海道を好きになってもらい、そこからサッポロビールを知っていただくきっかけとしての役割を担っています。

 そのためサッポロビールが前面に出ず、“北海道を丸ごとブランディング”して価値向上をはかり、Likers を通じての複数の企業・人が有機的に結びつき共存共栄したエコシステムの構築することを目指しています。

百人ビール・ラボ

 全国のビール愛好家に集まってもらい、彼らとの対等なコミュニケーションによりビールへの関心を深めてもらうことを目的としています。さらに、ビールには多様な品種があるという理解を世間に深め、新製品づくりのプロセルを明らかにすることで、その商品への親近感とサッポロビールとの共創感を生み出せればと考えています。

ヱビスビールFacebookページプリン隊がゆく。。。

 ヱビスビールのFacebookページでは、ヱビスファンとの深い絆の構築と強化を目的に運営しています。プリン隊がゆく。。。(サッポロ極ZEROのFacebookページ)では、プリン体を気にされてビールを避けている方とのコミュニティを作り、健康的にお酒を楽しめる関係を構築することを目的としています。

 現状では、この5つのFacebookページは連携していませんが、アカウントをまたがってファンになっていただいている方もおります。

 ── Facebookページを複数運用される中で、それぞれ目的を持って取り組まれていらっしゃることがわかりました。そもそも、御社は「ファンつくり」に対して他社よりも重きを置いていると感じます。例えば、楽天会員を活用したリードナーチャリング(顧客育成)なども展開されています。自社メディア(Webサイトや自社運営施設)/マスメディア/リアル接点などでのファンつくり戦略について教えてください。

 ビールを飲んでいただいて満足していただくことが、最終的なファンづくりにつながるということを考えており、リアルイベントや工場見学などを通じてブランド体験していただいています。

 インバウンドマーケティングやリードナーチャリングなどと難しく考えず、自社サイトで、Webサイトを閲覧した方(ビジター)がアクション(実際の購入、情報の拡散)していただくことをまず第一に考えております。最近では、リアル店舗での購入を促すための020や、情報拡散していただけるアンバサダー育成のための施策にも取り組んでおります。

楽天市場を活用したファン作りと拡販構造
楽天市場を活用したファン作りと拡販構造

ポイントサイトの活用方法

 ── 会員組織化、ポイント付与によるポイントサイトもあります。ポイントプログラムによる目的と効果はどのように捉えていますでしょうか。また、ポイント活用での新たな気づきなどもございましたら教えてください。

 Webサイトのスターポイントについては、特にポイントを貯めるメリットがあるわけでもなく、ポイントの還元は、1.特別なキャンペーンに応募できる、2.特別なデジタルインセンティブを入手できるくらいですが、ゲーミフィケーションの一環としてご利用いただいております。

 このスターポイントを導入した目的は、メールマガジン以外でもWebサイトを訪問するモチベーションを高めることと、会員の能動的な行動を促し各商品ブランドサイトを閲覧してもらうことで、このサイト内行動を元にクラスタリングして、本来のロイヤリティ会員を見える化することです。

 コカ・コーラ パークのような大規模なサイトでなく、サントリータウンのようなものでもなく、カルビーさんや日清さんをベンチマークにしました。効果としては、一人当たりのページビューと月間ユニークユーザーが増加し、結果として各ブランドサイトもよく閲覧されるようになりました。これを売上にどうつなげるかは、目下の課題です。

サッポロビールが考えるデジタルの活かし方

 ── アーンドメディアへの対応、ポイントサイトによるエンゲージ、自社メディアコンテンツの多岐化、地域の特性を生かしたコミュニケーションなど、今後も多面的な戦略を進められていると思います。その中でデジタルの役割をどのようにお考えでしょうか。

 長期的にはデジタル戦略という狭義な捉え方でなく、メディア戦略、マーケティング戦略におけるデジタルという捉え方をしたいと考えています。つまり、オムニチャネルの視点から、デジタルを活かし方を考え、最終的に売上に貢献できるような方法論を確立していきたいです。

 短期的な視点でのブランド戦略においては、Web・SNSを通じてリーチ人数の拡大と、リーチした人に何らかのアクション(情報の拡散、飲用シーンの投稿や)を促し、その反応・投稿内容分析を社内共有し、効果的な施策を企画していきます。

 販売促進へはO2O施策を実施し、その仮説検証により、デジタルの寄与について検討していきます。そして、わくわくブルワリーのようなオリジナルビールをはじめ、ECにも取り組みつつ、北海道Likersのような地域社会や人結びついたエコシステム構築にもチャレンジしていきたいと考えております。

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この記事の著者

松矢 順一(マツヤ ジュンイチ)

株式会社アサツーディ・ケイ クロスコミュニケーション局を経て、伊藤忠商事株式会社情報産業部門でデジタルマーケティングを担当し、株式会社ADKインタラクティブ取締役就任。その後、楽天株式会社メディア事業副事業長を経て株式会社Tube Mogul執行役員就任。著書には共著で『次世代広告コミュニケーション』『トリプルメディアマーケティング』。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/10/16 08:00 https://markezine.jp/article/detail/18412

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