運用手法の多様化・複雑化
運用型広告が拡大していく中で、検索連動型広告の位置づけは見直されつつあります。従来とは違った検索連動型広告の運用。それは検索連動型広告とほかの広告との連携を前提とした分析と最適化という考え方です。
欧米では「Customer Journey」という表現で説明されているように、運用型広告の配信というものが、消費者の行動を追いかけて行われる以上、一消費者がコンバージョンに至るまでに接触する広告の数は従来と比べて増える一方です。その中で検索は、コンバージョンに至る複数回の接触の最後に来ることもあれば中間に来ることもあり、それぞれのコンバージョンパス(コンバージョンに至るまでの広告接触履歴)の中でどこにでも存在し、またそれがほかの広告に影響を与えています。
従来の検索連動型広告では考える必要のなかったほかの運用型広告との連携、相関の分析や、実際のキーワードから消費者の意識変化をより深く掘り下げてのメディアプランニングなど、単純に手作業で管理していればよかった検索連動型広告は、もはや終わりを迎えようとしているといっても過言ではないでしょう。
複雑な運用を実現するためのテクノロジー
こうした分析や最適化を実現するためには、従来型の人の手による労働集約的な広告管理から脱却しなければなりません。また、消費者が複数回広告に接触しているという事実とコンバージョンの測定手法によっては、現在自社で確認しているコンバージョンの数がそもそも正しくない可能性すら出てきます。そうなるともはやインハウスであろうと代理店への外注であろうと、そもそも運用ができないという状況に陥っている方も相当数いるのではないかという実感もあります。
そこで考えなければならないのが、そのような運用を実現するテクノロジーです。旧来「自動入札ツール」といわれていたプロダクトは現在、運用型広告の統合管理では欠かせない機能を備えたツールになっています。多くのツールがレポーティング、プランニング、最適化の各種機能を備え、検索連動型広告だけにとどまらない管理機能を提供しており、一部の企業はリターゲティング、DSP、SEOの管理機能も備えた統合管理プラットフォームとして認知され始めています。
その一方で上記のような最適化テクノロジーを導入したものの、実際のところ改善されなかったというケースも非常に多いという現状もあります。筆者の私見ではありますが8割以上はテクノロジーの導入が先立ち、自社の本質的なプランニングがテクノロジーによって踊らされてしまっており、本質的な改善には生かされていないという感覚すらあります。
次回以降、まずは現在の運用型広告の中での検索連動型広告の位置づけと重要性を掘り下げ、統合管理ツールが必要となりつつある背景をご説明させていただきます。