“残り予算をスマホへ”という現状は今後どうなる?
本イベントでは、2つのパネルディスカッションが開催された。1つ目は、「PCからスマホへの転換で独自に進化したテクノロジー、運用型メディアの未来」。CRITEO 天野耕太氏をモデレーターに、ユナイテッド 山下優司氏、広告主サイドのマーケターの立場からセレゴ・ジャパン 鈴木知行氏、adingo 小澤(こざわ)昇歩氏、AMoAd 加藤英也氏を迎えた。

議論は、今年はじめからスマホ広告市場に進出し、この9月にもスマホアドネットワークにおいてAMoAdとパートナーシップを締結したCRITEO 天野氏の、広告主の出稿に関する所感から開始した(※以下、モデレーター天野氏の発言は傍線)。
―― アプリなどスマホに特化したサービスの広告出稿では、リスティングが向いていればリスティング、そうでないものはアドネットワークを含めたディスプレイに予算を割いているイメージがあります。一方、スマホ限定のサービス以外は、PCのリスティングなどに予算を割いた上で、残った5~10%をスマホ広告に振り分けている印象です。この状況は今後どうなるのか、スマホ特化型のアドネットワークを展開するAMoAdではどう見ていますか?
加藤: 確かに、全体の予算はPC分とスマホ分に割り振られ、その中で「どうするか?」という発想になっている印象はあります。一方で、PC分の予算が流れてくることで市場が伸びている、というわけでもないと認識しています。スマホのネットワーク自体、プレイアブルアドやゲームに特化したものなどで活性化させ、その市場自体を伸ばしていく努力が必要だと感じています。
ユーザーが使っているデバイスに予算を投じるのは当然
―― 実際に広告主サイドに対峙しているユナイテッド山下さん、またDMP「cosmi」を広告主に提供するadingo小澤さんはどうお感じですか?
山下:スマホ内のアクションでコンバージョンが得られるECなどは別ですが、ほとんどのサービスはスマホだけでは完結しないので、スマホだけ見るとまったくKPIが合わないケースが多いです。そうなると、3月の余り予算で着手したり、試したが今はやめておこう、という判断になったりします。社内理解も難しいので、PCとスマホの横断的なユーザートラッキングがやはり必要ですね。
小澤:スマホだとPCと違う切り口でデータが取れるので、それを使って“何かしたい”という広告主のニーズは強く感じます。ただ、確かにまだ一歩踏み出せない状態なので、課題を洗い出し、データベースの整備やフィンガープリンティングなどの技術によってそれらを解決していくことが急務だと思います。
―― 今日ご参加の中では広告主の立場になる、セレゴ・ジャパン鈴木さんはいかがですか?
鈴木:当社は英語学習アプリ「iKnow!」を提供していますが、元々PCでのサービスからスタートしたものを、今スマホやタブレットに軸足をぐっとかけているところです。ユーザーの環境が変わった以上、そこに踏み込まないという選択肢はありえない。極端な話ですが、当社では広告予算の9割をスマホに投じた時期もあります。
昨年秋ごろ、当社からのメールの開封デバイスを調べたら、スマホが6割に達しており、しかもすぐに開封されていた。学習自体もかなりスマホで進められていたので、それならばスマホで集客しない理由はない、というのが背景でした。いろいろ試した結果、現在でも予算の半分以上をスマホに割いています。