Unityで広がるゲーム開発の裾野
Unityは、いま一番人気のあるゲーム開発ソフトといっても過言ではないだろう。対応しているプラットフォームは、iOS、Android、Windows、Linux、PlayStation4、Wii Uなど10種類以上にのぼり、PC、モバイル、家庭用ゲーム機など多岐にわたっている。また、単純なカジュアルゲームから高度な3Dを駆使したゲームにいたるまで、Unityでゲームを作成するだけで、上記のプラットフォームに適応したプログラムを簡単に書き出すことができる点も大きな魅力だ。「ゲーム開発を民主化する」これがUnityのスローガンとなっている。
高品質なゲームを手軽につくれるようになった一方で、無料で遊べる大量のゲームアプリが出回り、マネタイズに苦労している開発者も多い。ゲーム開発の裾野が広がりを見せるなか、そのマネタイズの部分を支援するため、新たな取り組みも始まっている。
スマホでも急成長を遂げるアイモバイルのアドネットワーク
アイモバイルは現在、PC/モバイル端末向けのアドネットワークを運営しており、今年8月にはスマートフォン向けアドネットワーク「i-mobile for SP」が330億インプレッション、PC向けアドネットワーク「i-mobile for PC」が155億インプレッションを突破。スマートフォン、PC、フィーチャーフォンを合わせた全デバイスの月間広告配信数は556億インプレッションに達している。
広告主数が多く、多様な業種が利用しているほか、広告サイズも豊富で、様々な広告表示方法が可能となっている。
無料ゲームのマネタイズに苦労する開発者たち
スマートフォン向けのアドネットワークを運営するアイモバイルは、9月にUnityプラグインを開発した。このプラグインは、アイモバイルが配信している広告をUnityで作成したアプリに表示するためのもの。配信できるのは、一般的にアプリに配信されている「バナー広告」と、アプリでおなじみの小さいアイコンを表示する「アイコン広告」の2種類。
UnityにはもともとiOS限定のiAdの広告を出す機能がある。しかし、それ以外の広告を表示するには開発者がコードを書いて組み込むしかなかった。そのためには、AndroidならJavaの知識が、iOSならObjective-Cの実装のスキルが必要になる。しかし、アイモバイルが開発したUnityプラグインを使えば、たった1行のスクリプトでバナー広告を表示させることができるのだ。しかし、変化の激しいゲームアプリの世界。今回、Unityに対応することになった背景を聞いた。
古澤:アプリ開発ツールの世界は日進月歩。数も多く、次々と淘汰されていく。今回、Unityでつくったゲームアプリに広告を表示するプラグインを開発しましたが、どの開発ツールに対応するかずっと悩んできました。
吉田:アプリにおいてゲームは最も重要なコンテンツのひとつです。昨年の年末あたりから、営業にいく先々で「Unityに対応してる?」と聞かれることがとても多くなったので、開発に踏み切った。やはり、iPhoneとAndroidの両方にひとつのファイルから書き出せるのが大きい。
安藤:コマンドベースのツールは、プログラミングの初心者には敷居が高い。でもUnityは画面を開いてマウスでドラッグ&ドロップするだけで、ゲームの世界に立方体を設置することができる。こうした手軽さがウケて、Unityユーザーは世界中で200万人、国内では10万以上に達しています。
古澤:アプリが儲かるぞという話を聞いて、アプリで一稼ぎしたいという方もいらっしゃる。そうなると、やはりつくるものとしてゲームを選ぶ人は多いですね。
安藤:逆の場合もあって、まず「ゲームをつくりたい」という気持ちがある。そして「どうせつくるなら収入を得たいよね」というときに、広告を選ぶ。でも広告会社がUnityのプラグインを提供しても、すぐに個人がSDKをもらえるわけじゃない。導入したとしてもその後の申請にも時間がかかります。そうなると、まず、本当に簡単に導入できるのかを検討する手段があるのは重要。登録しなくても内容が見れるといいですね。
unityプラグインでカンタンにアプリを広告収益化
古澤:Unity プラグインとマニュアルは、登録しなくてもSlideShareで見られるようにしています。もちろん申請の手続きは必要なんですが。これまでより広告の導入を検討しやすくできたと思います。
安藤:僕だったら、広告入れたいとなったら今すぐ入れたいです(笑)
古澤:プラグインを使わずに広告設定する場合とプラグインを使った場合では、作業時間が大幅に短縮できるんです。アイモバイルのプラグインを使えば、「バナー広告」「アイコン広告」の2種類の広告が配信できます。
――開発者の方々にとっては、収益向上だけでなく、いかに広告表示の作業を簡略化するかもカギなのですね。
アイモバイルの「Unityプラグイン」を使ってみませんか?
大人気のゲーム開発ツール「Unity」でつくったゲームアプリに、カンタンに短時間で広告を表示し、収益を上げることができるプラグインをアイモバイルが開発しました。これによって、たった1行のスクリプトを書くだけでバナー広告を表示することができます。 詳しい情報は以下のサイトでご覧いただけます。
ゲームのプロモーションはゲームで「アプリtoアプリ」が基本
――アイモバイルは、PC向けとスマートフォン向け、ふたつのアドネットワークを運営しています。ウェブとアプリの違いについてお聞きしたいのですが。
古澤:まず、広告主が違います。ウェブではゲームの広告主はほとんどいないと言っていい状態でした。PCのオンラインゲームはありましたが、一般のECの広告主が多い。一方、スマホのアプリではゲームの広告主が多いし、予算も多い。ゲームアプリの広告主はソーシャルゲームの広告主が多いのです。
――ゲームでゲームのプロモーションをするのが一番効果的と考えられているのですね。
古澤:そうです。ゲームの広告主は配信面としてゲーム、かつアプリを選ぶことが多い。「アプリtoアプリ」と呼ぶんですけど。主もアプリ、メディアもアプリ。
吉田:ゲームのなかでもソーシャルゲームの広告主は、大きい予算を持っていて、カジュアルゲームと呼ばれる簡単なゲームを配信面として選ぶことが多いですね。電車でゲームをやってる人を見ると気になって見ちゃうんですけど。LINE系のゲームはどんなユーザー層でも多いので広まっているなと感じますね。
――2013年4-6月期のLINEの業績内訳を見ても、スタンプよりもゲーム課金のほうが大きい。やはりゲームの収益性の高さというのを感じます。
古澤:その収益性をさらに高めるのが、「アイコン広告」なんです。アイコン広告は小さなアイコンの形をした広告で、既存の広告枠とは別枠で掲載するため、現在の広告収益にプラスアルファが見込める点がアプリ開発者にとっては大きな魅力となっています。最大で350%もの収益アップが見込めます。8月にゲーム開発者の方々に向けて開催したイベントでも、アイコン広告は高い関心を集めました。(同イベントのレポート記事はこちらから)
ゲームアプリは世の中を映す鏡のような存在
――「パズル&ドラゴンズ」や「艦隊これくしょん」など、まったく異なるタイプのゲームが大ヒットしていますが、ヒット作が生まれる条件というのはあるのでしょうか。
鎌田:それがわかったら、いますぐにでもつくりたい(笑)
古澤:瞬間的に儲けるんだったら、そのとき流行っているものをとりあげるという手もありますね。今なら「進撃の巨人」とか。「倍返し」というアプリもあります。
吉田:「あまちゃん」もしかり。「じぇじぇ」というだけのアプリもあります(笑)
安藤:最近では「Cookie Clicker」もありますね。大きいクッキーをクリックするとクッキーが焼けて枚数が増えていく。そのクッキーで買い物をすることができるし、買ったものでクッキーの生産がさらに上がっていく。
安藤:ニコニコ動画では、最近ユーザーがUnityを使い始めているんです。たとえば、初音ミクが歌ったり踊ったりするデータをUnityに持ってきてゲームをつくる。ゲームそのものよりも、ニコニコ動画で人気のユーザーがつくったことでヒットする。単純な同じようなゲームでも何十万ダウンロード、数千万ダウンロードという差がある。今そういう現象も起きているんです。
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アプリからコンシューマゲームまで、夢は広がる
――最後に、みなさんはこれからどんなことにチャレンジしたいと考えていますか?
古澤:スマートフォンのアプリの場合、無料アプリが多いので収益を上げるには基本的には広告しかありません。私たちのプラグインを使えばスクリプトを1行書くだけで広告を表示できるので、どんどん利用してほしいですね。使いづらいところはフィードバックいただいて改善していきたいです。
鎌田:アセットストアには現在8000個のアセットがあるんですが、それを全部チェックするのはむずかしい。なので、使ってみて良かったアセットをどんどん紹介していきたい。レコメンドみたいに。そうすることで知識のない人でもアプリがつくりやすくなったりするので、インディーデベロッパーの方も支援できたらいいなと思っています。
吉田:今回アイモバイルで開発したUnityプラグインを使うことで、カンタンに広告設定ができるるようになった!と喜びの声を聞いてます。ぜひ多くの方に、アイモバイルのUnityプラグインをご活用いただき、マネタイズに役立ててもらいたいです。また、Unityさんはたくさんのイベントをやられてますが、うちでもマネタイズセミナーをやろうとしているの で、ぜひ一緒に組んでやりたいと思っています。
安藤:私たちはUnity普及のためのイベントを開催することがミッションのひとつ。いまは関東中心なんですが、ほかの地域のUnityユーザーのために「Unity県人会議」というイベントを計画しています。たとえば福岡で県人会議を開いて、そこに地元の開発者を集めてセミナーや勉強会をやろうとしています。また、個人的には、アセットストアで便利なものがいろいろ買えるために、薄れている知識というものがあると思うので、勉強会を開いて全体のスキルアップを図ろうと思っています。
――Unityとアイモバイルで、これからいろんな連携が実現しそうですね。両社の協力によって、新たなビジネスチャンスが生まれることを期待したいと思います。本日はありがとうございました。
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