ポイントカード導入の3つのフェーズ
そこで、これら3つの効果を自社だけで追うのではなく、グループとして追うことで大きな成果を上げられるのが「Ponta」のような共通ポイントカードの仕組みだ。まず前提として、ポイントカードは常にユーザーに携帯され、いつでも使える状態になければ意味がない。「皆さんも経験があると思いますが、利用頻度が低いカードは財布から出してしまいます。そこで生き残るために、使える場所が多いことが強い魅力になります」と内山氏は語る。

その上で、加算するポイントというコストを上回るだけのマーケティング成果を、ポイントカード導入によるデータ活用と施策の実行で上げていく必要がある。ただし、データはある程度の会員数が集まり利用が促進され、量が蓄積されないと活かせない。自社のみで運用する場合、そのステージにたどり着けずにポイントカード制度を廃止してしまうケースも多いそうだ。
もう一つ、自社での運用で会員増および利用促進の段階を持ちこたえられない理由として、これまでPOSデータのみを頼りにしてきた小売業態の多くで、データ活用による顧客セグメンテーションの価値、つまり顧客の状態に合わせたアプローチ施策の有効性が理解されにくい点があるという。
データをもとに、まだ自店を利用していない潜在顧客にアプローチできる
セグメントが細かいと、それだけリターンが高い施策も可能だが、オールターゲットのキャンペーンの方が効果があるように思われがちだ。「なので、それならポイントカードにかけている施策のコストをテレビCMに回したほうがいいじゃないか、という議論になりがち」と内山氏は指摘する。
運営に関するさまざまな付随業務も、自社での運営を難しくしている。システム構築やカードの発行、個人情報の管理、コールセンターの運営、データ分析など、会員の規模が大きいほど求められる業務の負担も大きくなる。共通ポイントカードの場合、これらをロイヤリティ マーケティングのような運営会社に委託できることが大きなメリットだ。加盟企業は、会員募集やマーケティング企画立案・運用に集中することができる。

そして共通ポイントカードの最大の特徴は、提携店との相互協力・相乗効果だ。「自社運用の場合、会員か非会員か、という分け方しかできません。それが提携店と商圏を同じくして取り組むことで、会員と非会員の間に存在する“自店を利用していないが可能性のある”潜在ユーザーを発掘し、アプローチすることができるのです」
当然、顧客にとっては、ポイントは利用して初めて「ためていてよかった」と思うもの。利用できる場所が多ければ、それだけ提携社全体で離反を防ぐことにつながり、集客やロイヤリティの向上においても相乗効果が上がる。